N人組の分身体
さて、これでワタシカメラの分身がどうやってできたのか、それで何が実現し得たのかを
「なぜ、ふたり組なんだ?」
一人では怠け者が出るので理由は明白。だが、ふたりである理由がわからない。
「ならばお前も「ええあい」を使ってみるといい。お前の「ええあい」のみ、別の人数体制を設定し、その理由を見せてやる」
さらりと売りつけられたわけだが、それでも
こうして
「すごいな。さすが
「日々、ポーズの鍛錬を積んでいるからな」
よって
「よし。ひとつ依頼して見るか。そうだなあ……「頼むでええあい」。リマ(マテオ・リッチのこと)なる学者が刊行したとか言う、
意地の悪い依頼である。三郎も元はニンジャ。情報通である。そう容易に入手できぬ情報、しかもその複製という最高難度の依頼をしてみたくもなる。すると、井戸より複数の分身体が飛び出し、シュタタと屋根を駆けまわる。
「お、おい。分身同士、殴り合いを始めたぞ?」
「そうなんだ。この世界にはそっくりな己が三人いると言うが、その三人目に会うと死んでしまう……という伝説がある。それはまさにその通りだったようだ」
三人組になると分身たちは「そっくりさんが三人そろった」と認識し、生存を掛けた戦いのゴングを鳴らしてしまうのである。なるほどと
「では四人組はなぜだめなんだ?」
「それは
「なるほど……一理ある。では五人組はなぜダメなんだ?」
すると
「
「わ、わかった」
とは言え、次はどんな依頼をすべきかとすぐには思い浮かばない。ううむと
「よし、決めた。「頼むでええあい」。お夏さんの使いかけの手ぬぐいを複製してくれ」
使いかけを複製したそれは果たして、使いかけの手ぬぐいなのか。その真相は闇のなかだが、それ以上に
とにもかくにも、いまは分身体の数である。
五人組をくんだ分身たちは、三人組のようにすぐさま屋根へ上ったりはしなかった。どころか、ほかのグループたちと集まって、なにやら相談し合っている。
ある分身が言う。
「おれが議長として選出された。副議長はおれの隣にいるおれ、書記は反対隣にいるおれである!」
すると他の分身たちが拍手喝采でふたりの分身をたたえる。
「会議を始めよう」
「そうしよう」
「議長、議題はなんでしょうか」
「それはむろん、おれたちの働き方についてだ。おれたちには働き方について問う権利がある!」
そう。分身たちは労働組合を結成してしまったのである。議長、副議長、書記。それに加えて一般組合員たち。この形式をとるにはすくなくとも四人を要する。四人組は死を連想するということで試されたことはないが、おそらく四人以上でこの現象は発生するだろう。しかも恐るべきはその感染力の高さだ。
「これで分かっただろう。二人組が丁度いいのだ」
そして今の運用体制がもっとも「ええあい」が安定稼働する体制なのである。
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