雰囲気の硬軟が大変味わい深いです。
冒頭の雰囲気はなかなかにハードボイルドで、シニカルな言い回しの言葉遊びが巧みだな、と感じます。
かと思えば、ネジのゆるゆるな頭の悪いやり取りもあり、シリアスな雰囲気ながらも作品全体が冷えすぎることなく読み進めることができます。
そして、メインとなる二人の存在が、それぞれ違う魅力を痛烈に光らせています。
荒事担当の主人公は、キレのあるアクションが実に爽快。
体格差や数の不利をものともせずに軽く相手を叩きのめす様は圧巻な一方、頭の方は少し抜けてて残念な雰囲気があるのが中々にお茶目です。
また、裏社会の深部である「殺し屋」に携わっているだけあって、頭脳以外の部分に関しては大変頼りになります。
そんな彼女に対し頭脳担当の相棒は、どこまでも人間臭い部分が大変魅力です。
飄々とした態度の中にある確かな信念の熱さ、主人公にはない人生経験からくる厚み、時折見せる裏社会出身者故のミステリアスな一面。
この手の頭脳担当というのはクールな雰囲気が似合いそうなものですが、そのイメージとは真逆なタイプです。
多分、彼の関西弁がその人間味を一層味わい深いものにしている気がしますね。
そんな二人が、些細で致命的な一つの事件をきっかけに、巨大な裏社会の陰謀と立ち向かう本作。
読み応えは確かなものと言えるでしょう。
是非とも喫茶店のナポリタンを頂きながらお読みください。