優しいおじいさんの怠慢、卑しいおばあさんの悲願。


 勧善懲悪の物語として有名な舌切り雀。

 優しく謙虚なおじいさんは宝に恵まれ、卑しく強欲なおばあさんがお仕置きを受けるという話。

 しかし、考えてみてほしい。

 本当に「大きなつづら」を選ぶのは悪いことだったのか?



 有名な昔話について、現代基準でバランスを整えたような作品。

 主なあらすじは原作を踏襲しつつ、そこに至る背景を詳しく描くことで異なる読了感になっている。

 ほんの一時の気の迷い、あるいは精神状態によって、衝動的に何かをしてしまうことは、多くの人が体験していることだろうが、
 そこだけを切り取られて「卑しい」人物判定されてしまう(その逆も然り)怖さがあった。

「優しい」だとか「卑しい」だとか、そういうわかりやすいもので人物は括れるもんじゃないよ、ということが伝わってくる話であった。