第4話 静かな説明と広がる輪
オダヤカネコは、マンメン・ドラゴンの怒鳴り声や、その経済的な嫌がらせ『お菓子を受け取らないこと』に動じることなく、静かな旅に出ました。
ネコは、世界中の動物たちが集まる大きな集会や小さな森の奥深くまで、地道に足を運びました。
これは、ドラゴンが最も嫌がる「地道な外交努力」でした。
ネコは、決してドラゴンを罵倒したり、声を荒げたりはしませんでした。
ただひたすらに、「真実」と「ルール」だけを語り続けました。
─── 🕊️ 感情ではなく、道理を語る ──
ネコが他の動物たちに話す内容は、常に冷静で丁寧でした。
「ドラゴンさんは、私たちが昔交わした『大きな約束の巻物』を『無効だ』と吼えていますが、もしその巻物が本当に無効になってしまったら、世界中の平和を守るためのルールが、次々に崩れてしまいます」
「私たちは、キツネの村の立場を勝手に決めることはできません。
それは、昔の巻物に背くことになるからです。
私たちが見るのは、誰の力が強いかではなく、誰がルールを大切にしているか、その一点です」
特に西の国の賢いフクロウや、海の向こうの小さな国々の動物たちは、ネコの話に深く頷きました。
彼らは、ドラゴンがルールよりも面子と力を重んじていることに気づき始めていたからです。
ネコはさらに、シッポフリ・キツネが「自由な大きな市場の輪」に入るのが、なぜ正しいことなのかも説明しました。
「キツネの村の技術と誠実さは、市場の輪を豊かにします。
私たちは、市場の輪を『ドラゴンを困らせるための道具』ではなく、『ルールを共有する仲間を増やすための手段』として使いたいのです。」
── ☁️ ドラゴンの孤立 ──
一方、マンメン・ドラゴンは、大きな怒りの煙を吐き続け、各地で自分の主張を繰り返しました。
「ワシの力こそが、この世界のルールだ!
ネコは嘘をついている!」
しかし、ネコが冷静かつ論理的に説明し続けた結果、ドラゴンの大声は徐々に説得力を失っていきました。
ドラゴンがどれだけ大きな声で吼えても、ルールと道理に基づいたネコの言葉には勝てませんでした。
他の動物たちは、ネコが感情的にならず、静かに正しいことをしているのを見て、「ネコは大人の対応をしている」と感じました。
それに対し、ドラゴンは自分の思い通りにならないとルールを破ろうとする、まさに『ワガママな子どもの行為』を続けているように見えました。
タカネ・ライオンも、ネコが冷静に場を収めようとしている姿勢を評価し始めました。
ライオンはネコに寄り添いこそしませんでしたが、ドラゴンの横暴な主張に対しては静かに首を横に振るようになりました。
ドラゴンは気づきました。
いくら力や面子を振りかざしても、誰も自分を心から支持してくれない。
自分の周りには、自分の力を恐れて黙っている動物しかいない。
ネコは、直接的な争いを避けながら、世界中の動物たちの心の中に、「正しさとルールの大切さ」という静かな輪を広げていたのです。
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