集結

“本当に信じて良いのだろうか”


これを見て、はじめにそう思った。



でももう、残されたものも、失くしたくない物も無い。

もうすでに、何もかも失ってしまった。


母は、私が10歳の時に妹の難産で亡くなり、父は私が14歳の時に働き過ぎで倒れて、呆気なく死んでしまった。

私と妹は、両親が残した遺産を手にし、母方の叔母に預けられた。


叔母は、優しい人で、私を高校に行かせてくれた挙句、学費も無償で払ってくれた。

そして大学にも行きなさいと言ってくれた。

それは、16歳の少女の心にどれだけ響いたことか。


そして、世界でただ1人、唯一無二の妹は、6才になり、小学生になった。

妹は、賢くて母や叔母に似て優しい子に育った。

私は、この自慢の妹と自慢の養母はは


そんな矢先だった。

私が家で留守をし、2人は買い物へ出かけた。

けれども、何時間経っても、2人は帰ってこない。

行き先は、近所のスーパーだというのに。


不安になった私は、叔母の電話をかけた。

けれども、何回掛けても応答が無い。

背筋が凍り、だんだんと不安感が増してゆく。


ソファでうずくまり、ただ祈っていた私の元にかかってきたのは、絶望的な電話だった。



滑稽。

惨め。

哀れ。

病院の廊下の無機質な椅子に腰掛け、涙も流せず絶望感に苛まれた。

涙が出ない。

私は大切な人をどれだけ失えば良いのだろう。



はずれの人生……

なのかもしれない。


でも認めたく無い。

私から2人を奪った奴を許さない。


復讐したい。

2人の仇を討ちたい。




私は、仇討ちを成すんだ。

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仇討ち記 読解秋夢 @11222

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