人気VTuberの幼馴染にお願いされて一緒に配信をしたら大人気VTuber達に話題にされた
月姫乃 映月
第1話【幼馴染からのお願い】
「一生のお願い! 私と一緒に配信して!」
放課後、俺――
「ちょっと言ってる意味が良く分からないんだけど」
「そのままの意味なんだけど!」
小春には俺だけが知っている秘密が一つある。
それは登録者二十万人を超える人気VTuber、
銀髪三つ編みハーフアップヘアで雪の結晶のアクセサリーを髪に付けているビジュアルはとても可愛く人気になるのに時間はかからなかった。
「私VTuber初めてもうすぐ一年でしょ? それでリスナーの皆に何してほしいか聞いたら皆ホラーゲーム配信してって言い出して私を虐めてくるの!」
「あー、小春ホラー系ダメだもんな」
小春は昔からホラー全般がダメで今までで一度もホラーゲーム配信をしたことがないらしい。だからリスナーの皆はホラゲー配信をリクエストしたんだろう。
「いやいやでもVTuberでも配信者でもなんでもない俺が一緒に配信しちゃって大丈夫なのかよ」
とある女性VTuberは男性と二人でご飯に言った事を配信で話しただけでガチ恋勢が文句を言ったりしたらしいし……それだけは心配だ。
まぁ小春じゃなくて俺の方に怒りの矛先が向くと思うけど。
「大丈夫! 私よく配信で透夜の事話してるし。透夜の事話してる時もコメント欄荒れたりしないしむしろ幼馴染を配信に出せーって言われたりするもん。あ、勿論皆幼馴染が男って事は知ってるよ」
「何話してんだよ……」
小春からは恥ずかしいから配信あまり見ないでと言われているから見てなかったけど何話してんだよ……。
「じゃあ今日の八時に私の家に来てね」
「なんで俺が出るって決まってるんだよ!」
「可愛い幼馴染からのお願いなんだから良いでしょ!」
そう言ってむっとした表情をする小春。
確かに可愛いけど自分で言うなよ……。
「本当に怖くて一人じゃイヤなの! お願いだから隣に居て」
「……分かったよ」
「本当に⁉ 流石透夜! じゃあ八時に私の家に来てね!」
小春はそう言って手を振りながら駆け足で自分の家へと向かって行った。
「……本当に大丈夫か?」
☆
「良い? 私の事は乃愛って呼んでね? 絶対に本名で呼んじゃダメだからね?」
「ああ、気を付ける」
小春とはそれなりに出掛けたりしているが、家に上がるのは中学以来だ。
部屋の右奥にはL字のデスクがありモニターが三枚にマイクが設置されており、いかにも配信者って感じの部屋になっていた。
中学の頃の記憶にある小春の部屋とは全然違う。カッコよくお洒落な部屋ではあるけれどベッドの上には可愛らしいテディベアが置いてあったりとしっかり女の子って雰囲気の部屋だ。凄い良い匂いもするし……。
「私は透夜の事なんて呼べばいい?」
「なんでも良いんだけど」
「う~ん……じゃあソラで良い?」
「別に良いけど、何でソラ?」
「この前行った猫カフェで私に一番懐いてくれた猫の名前がソラだったから」
そう言いながら小春はゲーミングチェアに座りパソコンを起動させた。
「それで何のホラゲーをするんだ?」
「えーっと、バックルーム? リスナーの皆にホラー苦手な人でもできるホラーゲームを聞いたらこれって言われたからこれにしたの。なんか流行ってるみたいだよ。もう配信の枠は立ててるから時間になったら始めるね」
モニターを覗くと既に沢山のコメントが流れていて同時接続者数は五千人も居る。
小春は事前にSNSでゲストを呼んでホラーゲームを夜八時からする事を告知していた。
そのためコメントではゲストが誰なのかで盛り上がっていた。
「もう直ぐ時間だから隣座って」
そう言われ俺は小春の隣に用意された椅子に座った。
「とりあえずプレイに関しては俺はノータッチで良いんだよな?」
「う、うん……でも少しは助けてほしいかも」
「まぁその時はその時だな」
「凄く不安なんだけど⁉」
「大丈夫大丈夫」
「もう、配信始めるからね! 始めたくないけど!」
そう言って小春は開始と表示されている箇所にカーソルを合わせてクリックした。
「こんばんは~。聞こえてるかな? えーっと、告知していた通り今日は初めてのホラゲーをしようと思います……本当に嫌だ……もうゲーム消したい」
:絶対ダメ。
:クリアするまでやめれません。
:この日のために生きてきた。
:バックルームクリアするまでってどんだけかかるんだよ。
:それでゲストって誰なの?
「ゲストね! 皆驚くと思うよ〜。じゃあ特別ゲストさん、自己紹介どうぞ!」
そう言って小春は俺の方にマイクを向けた。
「は、初めまして。えーっと乃愛の幼馴染です……とりあえずソラって呼んでください」
:え!? マジで言ってるの!!
:神回確定じゃん!
:ホラゲーとかどうでも良くなってきたぞ。
:てか幼馴染くんイケボすぎない?
:それな。普通に歌ってみたとか出してほしい!
:¥5000 ソラくんを私に下さい。
「ちょっと! 勇気だしてホラゲーするのにどうでも良いとか言わないでよ!」
「一人でホラゲーするのは怖いから一緒にしてほしいと言われたので居ます」
:優しすぎる。
:もうソラくんメインで良くない?
「良くない! 乃愛の配信だから!」
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