失った明かりの灯し方(2)
夜遅くに目が覚めた。まだ日は登らないという暗さで、辺り一面シン…としていた。
この日は "新月"
俺は一人で厠に行くのが怖かったから、
じぃちゃんを起こした
じぃちゃんに呼びかけてる間
何処からともなく "物音" がしたり、 "変な匂い" がすることもあった。
(少し変に思うくらいだし、
特別変わった事があるとかでもないし…)
気に留めなくても大丈夫だと思った。
(こんな事は今に始まったことじゃないからな…)
幸い起きてはくれたけど、すぐに起きてくれなかったから長い間待った気がした。
不意に鈴の音と太鼓の音がした。
ここら辺一体で鈴と太鼓の音は祭り以外で聞いた事がなかったから
(今日祭りをやると、じいちゃんは一言も言ってない!)
何故なのかという疑問と祭りなら見てみたいという恐れを知らない好奇心が俺を突き動かした。
「なぁ、じぃちゃん!
鈴と太鼓はいつ使われるんだ?今日か?」
一瞬じぃちゃんの体はピクリと動いた。
こっちに振り向く事もせず声だけで
「なに…?鈴と太鼓の音が聞こたんじゃな?」
じぃちゃんは雷に打たれたように素早く体を起こして、俺を抱きしめた。
「そのまま動くな。じぃちゃんがついとる。」
なんの事かさっぱり分からない俺はじぃちゃんにされるがまま…
抱きしめられたところと布団が厚くてちょっと痛苦しい。
段々と鈴と太鼓の音が大きくなり、物音も変な匂いも大きくなる。
まだ幼い俺でも近づいてくるモノが異常であると感じた事は本能だったと思う
「ア゙… 鄒主袖縺励◎縺�…ぃ…」
「縺薙▲縺。縺ク縺翫>縺ァ…」
何を言ってるのか全く聞き取れないが…
何かが呻くような、そんな声だった。
想像しただけでも込み上げてくる恐怖が近づいてくる。
じぃちゃんは何かを必死で言っていたけど、声が小さすぎて、聞こえなかった。
耳をすませてようやく"大丈夫"とか"守ってやる"とかが聞こえるだけで、あとは分からなかった。
灯浪 逢見 イロハ @Imi_12
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。灯浪 の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます