灯浪

逢見 イロハ

失った明かりの灯し方(1)

経済も、人手も、何もかも滞ってしまったこの世に明かりを灯す者たち…灯浪(とうろう)


どうして彼らが、明かりを灯す放浪人と書いて、灯浪と呼ばれるようになったのか…

彼らが迎える最後とは…



灯浪―――

それはこの国にとって大変重要な役職。

この世界で医者や裁判官、政治家がどれだけ偉くても、収入が多くても、それを平気で上回って来るのが"灯浪"と呼ばれる役職。

国からの救済措置もあれば、

公共交通機関の無償化だってあるし、

宿代も無料になる…


噂では年齢も体格も問わないが為に、

"誰でもなれる職業"として有名で、

この職に就いた者は、

家族共に安定した生活を送れるらしい…


「それなのに、仕事内容と職業メンバーとか

事の詳細を一切明かされてない―――

――なんて本当にどうかしてる。」




「灯浪さんらが仕事する時にゃ、

分かろうが…近づいてはならんよ」



そう、じぃちゃんに教えられたのは

俺がまだ5つ、6つの時。

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