第2話 雨宿りの夜に〜静かな夜〜

 結衣が帰った後。

 澪はアステルと並んで、

「雨宿りの夜に」の本を棚に収めた。


 星の光のように背表紙がきらりと光る。

「今日も、救えましたね」

 澪が言うと、アステルは優しく微笑んだ。


「澪。おまえの言葉で救われる者は、これからもっと増えていくぞ」

 澪は少し照れくさそうに笑う。


 そしてアステルは、ゆっくりと澪の頭を撫でた。

「これからも……頼んだよ。“星月の栞”の司書として迷える人の物語を書き記す役目を」

 澪は力強く頷いた。


「うん。任せて」

 図書館の灯りが、ふわりと温かく揺れる。


 その夜もまた――

 誰かの悩みを包み込むように、

 星月の栞図書館は静かに息をしていた。

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2025年12月10日 11:00
2025年12月10日 11:00
2025年12月10日 11:00

星月の栞図書館〜夜にだけ開く栞の扉〜 千葉 ゆう @yuu_chiba

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