十二支の国と仮面の旅
逢見 イロハ
第1話 憂うつな日常
人生何があるか分かったものじゃない。
どんなものにおいても先の生が平穏と決まっている訳ではない。
この先誰が幸せになるか不幸になるか…それは誰も知らない。
例え訪れたのが幸であれ不幸であれ時は待つことを知らない。
情報で溢れ返ったこの世界を便利と呼ぶか、不便と呼ぶか…
そういつも頭の中で自問自答している。
鳴瀬 結衣(なるせ ゆい)はずっと不安や心残りを抱えている。
それもこれも幼い頃の苦い思い出をずっと引きずるタイプだった。
(失敗したら他人にどう見られているのだろう…)
とつい考え過ぎてしまう…
完璧でなければいけない事はない。
それは確かにそうなのだが、周りを見ると失敗しても上手く切り盛りして成功へと変えてしまうのでいつも周りみたいになりたいと感じて自分で努力する。
が、行動が空回りしてしまうが為に、日常に嫌気がさしていた。
この先もずっとこのままかと思うと、"私はダメなのかも…"という言葉が頭を反芻する。
それでも唯一変わって欲しくないのは寝ている時。
(夢の中では失敗しないし、
思うように出来るし、
周りの目が気にならないし)
ずっとは続かないけど、それでも嫌な日常が唯一"楽しい"と感じる時だった。
( 私は今日も夢を見る。)
一昨日は無人の水族館に行く夢…
他人の視線が無い分、ずっと楽しかった。
昨日は日の出を見た。
あんなに美しいものが見て心が踊ったのは
いつぶりだろうか…?
観覧車に乗っていた事もある。自然の音だけ聞こえる場所とか、丘にある木の下で目覚めたら、一面花畑とか…
日常でさす嫌気が消える事はなくても…
それでも、これだけは変わって欲しくない。
「今日はどんな夢なのだろう…」
思っていた言葉が出てしまった。
それほど疲れていたのかと思うと、やはり日常はどれだけ辛いのか…
そうそう周りに分かってもらえそうもない。
「別にいいかも…
分かってもらえなくたって、私だってきっと…」
そうしてベッドに潜り込む。
今回もまた非日常を味わいたい―――。
疲れた身体は、静かに夢の中へ沈んで行った。
十二支の国と仮面の旅 逢見 イロハ @Imi_12
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