番外編② 】恋愛に向かいそうでいかないリオとカナのデート?編
〜気まずさとツッコミの嵐〜
とある平日の午後。
依頼もなく、モコは町の子どもたちと遊びに行ったため、残されたのはリオとカナの二人だけ。
「……なんか、二人きりって珍しいな」
リオがポツリと言うと、カナはわずかに目をそらした。
「べ、べつに気にすることじゃないでしょ。ただの散歩よ。散歩。」
二人は街をぶらぶら歩き始めたが、どこかぎこちない。
まわりはカップルに見えるのか、店主たちがニヤニヤしている。
店主A:「仲良いねぇ、若いっていいねぇ」
店主B:「デートかい?割引しとくよ!」
リオ:「ちがっ……!デートじゃないです!」
カナ:「だ、誰がこの子とそんな……!」
しかし顔は2人ともわずかに赤い。
気まずい空気のまま、ふらっと入った雑貨屋で事件は起きた。
カナが棚からハンカチを取ろうとした瞬間、
すぐ横の棚から、なぜか大量のクッションが落ちてきた。
ドサッ!
リオは反射的に身を乗り出し、カナの頭をかばうように手を伸ばす。
「大丈夫!?ケガは?」
カナは一瞬固まった。
しかし次の瞬間――
「な、なに普通にカッコつけてんのよ!!」
と照れ隠しの怒り声。
リオ:「いや!ほんとに心配して――」
カナ:「こ、こういうのが困るのよ!変に意識するじゃない!」
リオ:「俺も困ってるよ!!」
二人の騒ぎに店主が笑う。
「お似合いだよ、あんたら。」
二人は同時に叫んだ。
「ちがいます!!」
外に出ると、空は夕焼け色に染まっていた。
カナは歩きながら、小さくつぶやく。
「……でも、その……ありがと。さっき助けてくれて。」
リオは耳まで赤くしながら、ぼそっと返す。
「あ、あたりまえだろ。仲間なんだから。」
仲間、という言葉にカナは少しだけ笑った。
リオもつられて笑う。
ちょっとだけ近づいたような、
でも恋愛には届かない絶妙な距離のまま、
二人は並んで歩いていった。
その背中に、遠くからモコの声が響く。
「二人ともーー!デートしてるのーー!?混ざるーー!!」
「してない!!」
二人の声が重なり、夕焼けの街に響き渡った。
迷子と魔法と面倒と 番外編! 月宮 翠 @Moon_Sui3
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