蝋人形の館

みゅうた

雨の日の幻

とある山奥の小さな村


その場所は何故か女の子が産まれると大人になる前に姿を消すのだ


ある日その場所に旅人が立ち寄った


外は雨で視界が悪くよく見えない


少女を運ぶ謎の老人を目撃した


気になり後を追うが見失ってしまった


辺りは薄暗くなり灯りが灯ると古い洋館が見えた


雨はますますひどくなるばかりで止む気配が無い


旅人はその洋館に行くと玄関の呼び鈴を鳴らした


「どなたですかな?」


「夜分遅くに申し訳ない…急な雨に降られて道に迷ったようです…朝まで泊めてもらえませんか?」


ギィーッと鈍い音と共にドアが開いた


中から老人が顔を出して旅人をジロジロと見た


「どうぞ…この辺りは建物が少ないのでお困りだったでしょう」


家の奥に招かれると暖かいスープが運ばれて来た


「寒かったでしょうからどうぞお召し上がりください」


「ありがとうございます」


老人はスープの他に肉料理を振る舞ってくれた


食事を終えると部屋に案内された


薄暗い廊下を渡り案内された部屋は綺麗に片付いておりフカフカのベッドが置いてあった


急な眠気に襲われた旅人はベッドに身体を預けるとそのまま眠ってしまった


ふと夜中に目が覚めた旅人は悲鳴のような声が聞こえた気がした


気になり声がした方に向かうと灯りが漏れてる部屋があった


興味本位でその部屋をそっと覗くと恐ろしい光景が広がっていた


部屋の中には沢山の蝋人形がありどれも少女の姿をしていた


そして老人が少女にナイフを突き立てている姿が目に飛び込んで来た


息を殺して見ていると老人は少女が動かなくなったのを確認すると少女の身体を切り裂いて内臓を取り出し始めた


そして空洞にした少女の身体に蝋を流し込んだのだ


まさか…他の蝋人形も生きた人間を材料にしたのか?


そう思うと吐き気がして来た


急いでその場を離れると老人に見つからないように部屋へと戻った


そのあとは眠れない夜を過ごした


翌朝…旅人は老人にお礼を言って洋館を後にした


そして警察に通報して昨夜見た事を事細かに話した


場所を聞かれると警察からは驚きの話を聞いた


旅人が言った場所は確かに洋館があったらしい


でも今はその場所は更地になってるとの事だ


真相を確かめるべく旅人は再びあの洋館のあった場所へ足を運んだ


そこには更地になった土地と看板が立てられていた


「売地」


そう書かれていた


旅人は昨夜見たのが夢だったのかと思った


村の人に話を聞くとその場所にあった洋館で殺人事件が起こったらしい


そしてその内容は旅人が見た光景そのままだったので恐ろしくなった



旅人が見たのは幻だったのか?


もしかしたら殺された少女達が事実を伝えたくて見せたものだったのかもしれない


真相は闇の中だ



                   終

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蝋人形の館 みゅうた @tomrina

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