傷ついた誇りが、王女を“籠”から空へ押し出す始まりの物語

冒頭で語られるタリシャ王女の誇り高さが鮮烈で美しい一話。
婚約者ダリオンとリェン姫の振る舞いによって立場が徐々に侵食され、彼女の心の痛みが明瞭に浮かび上がる。
地脈の巫女としての責務を守ろうとする姿勢が揺らぎの中で一層際立ち、読者の共感を呼ぶ。
祭祀をめぐる理不尽な扱いは物語に強い緊張を生み、タリシャの孤独を深めていく。
それでも折れずに立とうとする彼女の姿が、次章への期待を強く抱かせる導入となっている。