第4話 更新されるクエスト

【一週間後】


デイリークエストは毎日更新された。


「ランニング5km」「腕立て30回」「プランク1分」

報酬は毎度「振り分けポイント+5」。


最初こそ「体育会系RPGか?」と疑っていたが、報酬欲しさに毎日こなすようになり、驚きの変化が起きた。


・睡眠の質向上

・授業中の集中力アップ

・筋肉痛が“ご褒美”に変化(末期)


「……俺、まさかの才能あるのか?」



ある夜、クエストを終えた直後、再びウィンドウが開いた。


――

振り分けポイント:160

能力値に自由に割り振れます

※1ランク上昇につき20ポイント

――


「……マジか、自分で振れんのか」


まるでゲームのステータス画面そのもの。

夏目はしばらく考えた。


(スタミナ上げたら勉強効率さらに上がるかもな……走力も上げたいし……肩力?べつにいらないか……)


こうして――


「スタミナに40……走力40……パワー40……残り40は……保留だな」


指でタップすると、ステータスが光りながら更新された。


――

スタミナ:G→E→D

走力:G→E→D

パワー:G→E→D

――


「うわ、マジで上がった……!」


なんかもう、効率厨の血が沸き踊りまくっていた。



【トレーニング開始1ヶ月後】


――

夏目孝太郎 15歳

球速80km

コントロールG

スタミナD

変化球-


ミートG

パワーD

走力D

肩力G

守備G

捕球G


振り分けポイント160(※新たな加算分)


称号:

『ガリ勉ノッポ』

『隠れトレーニングマニア』

――


「うわ……数値にすると成長が丸わかりだな……」


放課後、中村の勧誘には引き続き――


「今日は風邪」

「今日は買い出し」

「今日は……使徒と戦いが……」


と適当な理由で逃げ続けていた。



【三ヶ月後】


――

◆特殊クエスト発生◆

ジムに入会しよう!


君の体は自重では満足できない!

さらなる高みに行く時だ!


報酬:振り分けポイント20

――


「ついに……進化しちまったのか俺の筋肉……?」


そしてステータスはこうなっていた。


――

夏目孝太郎 15歳

球速80km

コントロールE

スタミナB

変化球-


ミートE

パワーB

走力B

肩力E

守備E

捕球E


振り分けポイント0


称号:

『ガリ勉ノッポ』

『隠れトレーニングマニア』

『ゴーストランナー(深夜公園の影)』

――


(もう全部Aにしたくなってきてる……勉強の偏差値上げる感覚だこれ)


帰宅後、夏目はジムを検索。


――

『サターンズフィットネス』

最新マシン完備/プロ監修

月1万円

――


(高い……でも投資だな)


翌日。

中村の追跡から逃げ切った夏目は、ジムへ入会した。


「いらっしゃいませ〜!初めてですね?」


優しげな受付に案内され、各マシンを体験。

重い負荷に筋肉が震えながらも、心のどこかで喜んでいた(気がする)。


――

◆特殊クエスト完了◆

報酬:振り分けポイント20


称号

『新米ジムトレーニー』

『話題の夏目君』

――


(……誰に話題になってんだよ)


夏目の筋肉ストーリーは、さらに加速するのだった。

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