家族

第1話 いらない子

あんたなんて作るんじゃなかった


母が俺に言った最初で最後で最低で災厄な暴言であった。


俺はそれを耳と脳に受け入れるまで数秒のタイムロスがあった


それはそうだ、まさか実の母親にそんな事を言われるとは思わず呆然とした。



数秒流れ



言葉と意味を理解した、理解した俺は涙が数滴流れた


痛い時に流れる涙でも感動した時に流れる涙でもない同じ涙でも重みがあまりにも違う。


本当に辛い時は大泣きでも咽び泣くでも泣くいいまでの想い出や嬉しかった事を思い出し、優しかった母を思い出して泣いた




一粒目の涙は嬉しかった事を思い出し泣き


二粒目の涙はその嬉しかった事がもう起きない事を悟り泣いた。


分かるだろうか実の母にいらない子宣言された子供の気持ちが。



まだ当時5歳の時の話してある


5歳ぐらいの子供にとって親がすべてと言っても過言では無い。


ある意味、母が神のような存在だ。


分かるだろうか信仰している神や教祖にお前いーらないっと言われた信者の気持ちが


それ程に俺のショックは大きかった。



駅のホームで難波天王寺方面に行く電車を待っていた時だった。


電車が来た、母は俺の手を強引に引っ張り一緒に電車に乗った、扉がプシューと鳴った


電車に乗るのは久しぶりだなーと考えていた、その時乗った、


電車はほぼ満員、座れる席もなくつり革を掴まれないから母の足にしがみつきコアラのようなたいせになる、それを見た高校生が可愛いーと言われていた、それにちょっと嬉しくなった、当時から俺はマセガキだった。


さっきあんなことを言われた直後だと言うのに脳天気なものだ。


母の足にコアラになって20分程たった。









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