情報の「欠落」を怖さに変えている

学校通信という極めて事務的な文書形式を用いながら、
時間の経過と人の入れ替わりだけで不穏さを積み上げていく、非常に静かな作品でした。

毎年同じ言葉、同じ構成、同じ「みんな笑っている」という描写。
それが繰り返されるほどに、逆に感情の不在や閉塞感が浮かび上がってきます。

名前の重なりや省略された期間など、
語られない情報が読者の想像を刺激し、
「何が起きていたのか」を考えさせられる構成が印象的です。

派手な事件は一切描かれていませんが、
記録の行間に滲む違和感が、確かな物語として残ります。
文書系・記録系作品が好きな方には、ぜひ読んでほしい一作です。

その他のおすすめレビュー

ギールさんの他のおすすめレビュー339