第3話 こんな地球人ごときに……!!
「はぁ…はぁ…女子トイレの個室までは奴も追って来れまい……!」
東乃 くぅのせいで私の学園生活は地獄のような幕開けとなってしまった。
「クソ……地球人ごときに苦戦するとは……!
スコウターで奴の位置を探り、休み時間はなるべく接触を避けねば……!」
ピッ!
◆脅威度:6000
(なに!?脅威度6000だと!?しかもこの女子トイレに……!!?)
スコウターが示す方向――そこは用具入れ。
(こ、こんなところに潜み……奴は一体何を企んでいるんだ……!?)
私は息を呑み、そっと扉を開いた。
するとそこには――
「んーーーっ/////んーーーっ/////」
私は無言で扉を閉める。
そして、もう一度開ける。
「んーーーっ/////んーーーっ/////」
「な……なんじゃあコイツはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!!」
用具入れの中には青い髪の女が目隠しをされ、縄で縛られているのに何故か頬を赤く染めて身体をくねらせていた。
(なっ……!!監禁されているのか……!?でも何で学校で……!??一体誰に……!?!)
「くっ……理由は分からんが今のうちにスコウターで情報を解析する!」
ピッ!
◆縄で拘束された女のプロフィール
名前:美波 うみ
性別:女
年齢:18歳
身長:172cm
体重:51kg
戦闘力:2
血液型:O型
外見:
・青いショートヘア
・スタイル抜群
・目隠し&縄拘束中
(やはりコイツも戦闘力は低い……!なのに何故脅威度だけがここまで高いんだ!?!!)
すると私のスコウターが再び反応した。
ピッ!
◆脅威度:18000
(……ま、まただと!?別方向から“脅威度18000”の反応……!今度こそ東乃くぅか……?それともまた違う別の誰かなのか……?)
私は一瞬その場に行くかどうかためらったがすぐに決心した。
(いや……どちらにせよこの学校に潜む“脅威”は今のうちに把握しておかないと後で取り返しのつかない事態になりかねない……!!)
私は女子トイレを飛び出しスコウターが示す方向へと一気に駆け出した。
(くそったれ……!一体何なんだこの地球という星は……!!)
***
そこは一年生の教室だった。
見たところ脅威になりそうな地球人は見当たらない。
「どこだ……?この中にいる“脅威度180000”の地球人は……ん?」
その瞬間、スコウターの数値が急激に跳ね上がった。
ピピピピピッ――!
「な、何だと!?一体なぜだ!?」
◆脅威度:20000…35000……68000………100000………………830000!!!?!!?
「ぎょええええええ!?ど、どこにいるんだこの化け物地球人は!!」
私は震える手でスコウターの表示を追いその示す位置へ視線を向けると、そこには金髪の小柄な美少女がじっとこちらを見つめていた。
そして次の瞬間、彼女は口元をゆっくりと吊り上げ――
「……新しい獲物……見つけた……♡」
背筋が一瞬で凍りつく。
「え…獲物だと!?この私に向かって地球人ごときが!!」
少女は一歩、また一歩と近づいてくる。
「ひぃ……!!く、来るなぁ!! と、とりあえずお前もスコウターで解析してやる!!」
ピッ!
◆小柄な少女のプロフィール
名前:北丘 むーこ
性別:女
年齢:16歳
身長:148cm
体重:39kg
戦闘力:12
血液型:AB型
外見:
・金髪のロングヘア
・小柄
・美少女
(地球人にしては戦闘力はそこそこ高いが至って普通のスペック……でもなんで脅威度だけがこんなにも異常な数値なんだ!?)
すると少女はニヤリと笑った。
「あなた……実はお嬢様でしょ?」
「なっ……!?何故それを!?」
そう、私は母星――『ウォーグレイス帝国』の正統後継者。一人娘なのだ。
驚愕する私を見て、少女はさらに唇を吊り上げる。
「私ね……大切に育てられた綺麗なお花を踏み潰す瞬間が一番好きなの……♡……そう、アナタみたいなお花を………ね?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!?!?」
全身が一瞬で凍りついた。
私は恐怖に負けて逃げ出した。
「な、なんで!?戦闘力はカスのはずなのに……あんな地球人ごときに生まれて初めて心の底から震え上がってしまった……ッ!!?」
――もう嫌だ!!
地球なんて征服できなくていい!早く帰りたい!!
***
私は必死に運動場へ走った。
そこには母星へ帰るための唯一の手段――私が乗ってきたUFOがある。
しかし。
「あ……そうだった……」
――自分の放ったエネルギー弾を思い出す。
「UFO、さっき木っ端微塵に破壊しちゃったんだった……」
膝から崩れ落ちる私。
しかも、よりにもよって今私の目の前にはあの東乃くぅの姿が。
「あ、お姉ちゃん探してたんだよぉ〜」
圧倒的絶望。
「そういやさっきのマジックどうやったの〜?あのUFOみたいな車どこに隠したの〜?」
全ての元凶がのほほんと笑いながら私に話しかけてくる。
「貴様ぁ……!今すぐこの場で消し去ってやろうか……!」
私は怒りに震えながら彼女を睨みつける。
だが東乃くぅは私が怒っていることにすら気づいていない。
「ねぇねぇ、お姉ちゃんってほんと不思議だよねぇ〜。一緒にいるとワクワクするよ〜」
怒りを通り越してもう呆れるしかなかった。
「……頼むから今は一人にしてくれ」
「え〜?せっかくお姉ちゃんをオカルト部に誘おうと思ったのにぃ〜」
「…オカルト部?」
「そう〜 UFOとか幽霊とか不思議な現象を研究する部活〜。あたしが作ったの〜」
彼女は無邪気に笑う。
悪気なんて一ミリもない。
それが余計にタチが悪い――。
もう何もかもがどうでもよくなり私は投げやりに言った。
「もうどうでもいい……煮るなり焼くなり貴様のスキにしろ……」
「やったぁ〜!お姉ちゃん今日からオカルト部の仲間だよ〜!」
……こうして私は、半ば強制的にその“オカルト部”に入部させられることになった。
***
東乃くぅに連れられ、私はオカルト部へと向かっていた。
気分はまるで屠殺場へ運ばれる家畜だ。
「ついたよ〜ここがオカルト部。略してオカ部〜」
そして彼女が扉を開けた――次の瞬間。
「あんっ♡むーこちゃんの鞭捌き激しすぎですぅ〜〜〜♡」
「あはは♡先輩ホント変態〜w」
――なんとそこには『美波うみ』と『北丘むーこ』の姿が。
「なんでお前らまでここにいるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!???!!?」
私の地獄はまだ始まったばかりらしい。
――つづく
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