バフ効果検証ブートキャンプ:DAY2昼

尻穴アナルがクソいてぇ……」

「だ、大丈夫?」

「だいじょばない、おまけに今お前に尻揉まれてることで不快感の重ね掛けでめっちゃ不快」

午後のバフのために後ろの穴に突っ込まれたのがついさっき。

ちなみに前の穴より後ろの穴はバフの持続時間が少なかった。最悪すぎる。


そんな気分最悪なお昼時、私はあたり一帯瓦礫になっているダンジョンの第一階層中心部に謎に出現しているキッチンでモッさんに尻をもまれながらピザトーストを作っている。


ただでさえ尻穴アナルがモッさんのぶっといモノの感覚が残っており違和感バリバリなのに、さらにモッさんの手が私の尻を撫でまわしており、不快感でもの凄く鳥肌が立つ。


「じゃ、じゃあやめよっか?」

「おめーにセクハラされながらじゃないとこのキッチン維持できないじゃん」

「まぁ、うん」

「愚痴ってるだけだからきにしないでどうぞ。あとはこれをトースターに入れれば完成。6枚あるから3ローテかな……なんかトースターが1台から3台に増えてる」


シンクで作ったピザトーストをトースターに入れようと真後ろにあるキッチンボードに振り向くと、先ほどまでは1台だったはずのトースターが3台に増えている。


「なんか巫女様がトースターが置いてる台に振り向こうとしたときにキモイ動作で増殖してました」

キッチン前の大テーブルで座って待っている騎士の一人が困惑顔で報告してくれる。

無機物がキモイ動作で増殖するってなんだよ。


「勇者と巫女のスキルってなんかきもくないけないとかあるわけ?」

このキッチンはおっさんとのアナルセックスのあとに私のステータス画面を確認したところで生えていた『セクハラ☆キッチン』というスキルだ。

どこでもキッチンと作りたいレシピの食材が出現し、バフ付きの料理が作れるらしい。

ただし料理中はバフを掛けている勇者にセクハラされ続けないとスキルが維持できずにすぐ消える。

料理が終わった後は私の任意に消せる。



勇者と巫女のスキルこんなんばっかじゃん。

「ほ、ほら、スキル的にはめちゃめちゃ有用だし……」

「モッさんは役得だからいいだろうよ……地味に役に立つスキルなのが余計腹立つ」


そんな無駄話をしているうちに3台のトースターが一斉にチーンと音を鳴らす。

キッチンボードの上には用意した覚えのないお皿が生えている。





ピザトーストは普通においしかった。

食後にモッさんと騎士さんたちのステータス画面見ると、両方ともオッパブよりちょい弱めだが、継続時間が半日もあるバフがかかっていた。

騎士にはオッパブ掛けられないのでこちらのスキルのが総合的には圧倒的に強い気がする。


クソ……戦術的に毎食これやるしかないじゃん……。



状況的には有利になっているので、私のこの釈然としないもやもや以外にはこのスキルを使わないという選択肢はない。

そんな圧倒的なもやもやを抱えつつ、午後の探索は始まった。









目の前には地面からせり出るように鎮座する巨大なコンクリートブロックと、その中心にトンネル入り口のような半円形の入り口。

まんま核シェルターの入り口チックな見た目だ。

そしてその入り口の巨大な鼠色の扉が私たちの侵入を固く拒んでいる。


すでに第一階層の高層ビル群は壊滅。敵もあらかた壊滅したので徒歩数分でここまでたどり着いた。

道すがらモッさんから聞いた話だと、原作では第一階層の都市制御棟というものがこのシェルター入り口の隣にあり、そこでゲートの開放ができるらしい。


「んで、このドアを開けるための制御室は?」

「壊しちゃった……」

シェルターの周りにはほかのエリア同様モッさんがきれいに耕した瓦礫の山。


「ここに第二階層の入り口があることは(ゲーム知識で)知っていて、制御室からじゃないと開かないことも知っていて?壊しちゃったんだ」

「うん」

アホの子かな?


まああんな派手に建物が壊れて敵を薙ぎ払える大技連打できるんだったら壊しちゃダメな部分壊しちゃう気分はわからんでもない。

なので怒りはしない。


「とりあえずビーム撃ってみる?」

「そうだね……ステハゲビーム100%!!!」


クアッ!!!!



ピッ―――――――



モッさんがビームを撃つとゲートの壁に当たりゲートがビームを反射して斜め後ろに跳ね返っていった。


ドゴシャァァァアアアアン!



天井にあたったのだろうか、地響きと轟音。

目の前にはびくともしないゲート。


「なんだこれ、すげぇ防御力」

「たぶん攻撃系だと開かない判定なのかも……」

あぁーゲームだとそういう法則もあるのか……。

いや、それだと詰みでは?


「……どうすんの?帰る?」

「いや、ちょっとレベルアップで新しく生えてきたスキルを試してみようかなって」

「えっと、『パブリック・ファック』と『空間ファックバリア』だっけ?」

「うん、その内の『空間ファックバリア』でちょっと試したいことがあって」

空間をファックして一時的に屈服させた上で一定時間味方メンバー以外侵入できない絶対防御を張る防御スキルか。


「防御スキルでどうすんの?」

「うん、ちょっと見てて」

そう言ってゲートの扉の境目まで行き、扉に触れるモッさん。


「空間ファックバリア!!!!」

モッさんが腰を突き出した途端、白濁した半透明の膜がおっさんを中心とした四方に展開される。



ミシミシミシ!

メコォォォオオオ!!!



そしてそれに合わせてゲートの扉がミシミシと音を立てて開く。


「ンヒィ!?!?❤」

「!?」

その直後に若い女性の悲鳴。

なんだ!? 敵か!? それともダンジョン内に冒険者?


「よっし!開いた!早速行こうかヴィーさん――ヴィーさん?」

「巫女様、どうされました?」


「え?今の悲鳴聞こえなかったん?」

「悲鳴?」

「ゲートが壊れる時の金属音を聞き間違えられたのでは?」

不思議そうにこちらを見るモッさんと騎士。

いや、確かに女性の悲鳴だったと思うんだけど……聞こえていたのは私だけか……?


「確かに聞こえたと思うんだけど……」

「疲れてるんじゃない?」

「まぁモッさんにケツほられてるからそれはそう」

疲れて幻覚が聞こえた、か?


「……まあ、じゃあいいか。それで何したん?」

「空間ファックバリアって俺の四方から味方以外のありとあらゆるものを排除するバリアでしょ?」

「うん」

「バリア範囲に障害物があったら排除するかなと思ってやってみたんだけど。うまくいった」

空間ごとファックして屈服させて味方につけてるから、それより下位存在のゲートが強制的にバリア範囲の空間から排除されたってことか。


午前にモザイク不可避なぼろ雑巾の肉団子状態になったモッさんがHP的にはあんまダメージ受けてないことで一見致命傷なのに速攻で復活できていたこともそうだし、つくづくゲーム判定的な物理法則してるのなこの世界。

「じゃあ下の階層に行こう。今のレベルならこのまま午後に第二階層を踏破してラスボスがいる第三階層に行けると思う」

「おけ」

モッさんの言葉に私は考えるのを中断し、騎士に守られながらゲートの入り口をくぐっていった。

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