救国の英雄、

へり

救国の英雄、

 月光が柔らかに世界を照らし、そろそろ日付も切り替わろうかという時間帯。

 燭台が放つ薄ぼんやりとした明かりに包まれた部屋に、二つの影があった。

 一方は煌びやかな装飾の施された椅子に座っており、もう一方はその前で恭しく片膝をつき首を垂れている。

 ここは王都にある王城の一室。その中でも、限られた者しか入室を許されない玉座の間。


「……なあ、その堅苦しいのやめんか? 今この場に居るのは儂とお前だけじゃろう、ミルノスよ」


 豊かな白い髭を蓄えた長身痩躯の『王』は、目の前の存在に向けて軽い口調でそう言った。


「王よ、そういう訳には参りません。分別のつかない幼子であればいざ知らず、私は軍を率いる立場です。それが王に砕けた態度を取るなど、如何に人の目が無いとはいえ不適切でありましょう」


 対して筋骨隆々とした肉体の軍団長、ミルノスは毅然とした態度でそう返答する。それを聞いた王は緩く嘆息し、けれどもミルノスの答えを半ば予想していたのか半眼を向けて続けた。


「……はあ、お前はほんっとに固い奴じゃなあ。こういう場でくらい態度を崩してよかろう。……昔はもっとやんちゃで、儂を敬う姿勢など振りですら見せなかったというに」

「…………もう、昔の事です」


 本人としては思い出したくない過去なのか、一瞬硬直した後苦虫を嚙み潰したような表情で呟く。

 だがそんなミルノスとは対照的に、王はわざとらしくにやりと口の端を歪めてみせた。


「お前を拾ってから数年は大変じゃったなあ~。口が悪いわ、喧嘩をするわでいつも王城内は騒がしかった」

「…………その節は、大変なご迷惑を——」

「おっと、謝罪など要らぬぞ。あれも儂にとっては良い思い出じゃからの。それに今ではこんなに立派に育ちおった。……少々真面目過ぎるかもしれんがな」

「……貴方のお心を知った上で、不敬な態度なぞ続けられますまい」

「お、若干態度が砕けたの」

「……そうして茶化すのも、要因の一つですよ」


 僅かに咎めるような視線を向けられれば、王は豪快に笑って「いやぁ、すまんな!」と軽く謝罪を口にする。

 ミルノスの醸していた緊張感が緩み、王と部下という間柄にしては気安い空気が漂い始めた。


「ま、正直な所お前の好きな態度で構わんのだがな。お前が儂に気を許してくれている、その事実が何よりも嬉しいのだ」

「……スラムで只空腹に耐え続けるだけの子供だった私を掬い上げて下さったのです、信用して然るべきかと。……始めは、何を企んでいるのかと疑ってしまいましたが」

「疑うこと自体は咎められぬよ。あのような環境で生きてきたのなら猶更、手放しに信じられずとも無理はあるまいて。気に病む必要などないぞ」

「……お気遣い、痛み入ります」


 王への感謝を告げるミルノスの口元は、緩く弧を描いていた。そんなミルノスを見て、王も優し気な表情で一つ頷いて見せる。

 しばし居心地の良い沈黙が続いた後、王が徐に「さて」と口を開く。


「そろそろ本題へ入ろうか」


 けして大きくはない声。けれどその瞬間、先程までの雑談が幻であったかのように空気が張り詰めた。

 気が良く皆に慕われる王から、有事に民を守り導く姿へ。一国を治めるに相応しいその覇気に、自然とミルノスの背筋も伸びる。


「今日儂がお前を呼んだ理由については分かっておるな?」

「はっ! 現在我が国へ侵攻している『敵』の迎撃について、でございましょう」

「ああ、その通りだ。……やはり、お前の気は変わらないのだな?」

「…………申し訳ございませんが、此度ばかりは」


 だろうな、と王は胸中で零す。

 ミルノスにこの質問をするのは、実のところ今回が初めてではない。故にその返答も分かりきっていたものだ。

 それでも、王は質問せずにはいられなかった。


「奴らは、私一人で迎え撃ちます」


 それは、今夜がミルノスを止められる最後の機会だったから。明日になれば、ミルノスは一人王城を発つ。

 王は静かに目を瞑り、深く深く息を吐きだした。


「……どうしてもか」

「…………」

「敵は実に狡猾じゃ。我等の戦力が分散するタイミングを見計らい、軍の精鋭たちを各個撃破してきた。……気づいた時には、既に多くの兵が討ち取られていたという最悪の状況。故にこそ、なりふり構わずに我が国が誇る最強の将たるミルノスという手札を切らざるを得ない。それは事実である」


 王が瞼を開く。深い叡智を湛えた金色の瞳が、真っ直ぐにミルノスを捉えた。


「だが、本当にお前一人で戦う必要があるのか? 他の兵を連れていくことも——」

「王よ」


 だが、ミルノスは微塵も揺らがない。不敬だと知りつつも、王の言葉を遮った。


「貴方とて、本当は分かっておられるはずです。敵は少数ですがその戦力は万の兵にも値します。奴らと渡り合えるのは、もはや軍の中でも私のみ。数だけを揃えたとて、疲弊させることすらできますまい。無駄に命を散らすだけです。……部隊長並みの実力があれば話は別ですが、彼らの多くが既に敗北、あるいは合流が難しい状況です」

「……」

「……我が身を案じて下さっていることは重々承知でございます。しかし、やはり現状取れる策の中で最善は私が単騎で迎撃することなのです」

「…………そうじゃな。ああ、お前が正しい。一対多はミルノスが最も力を発揮できる状況。無論知っておるとも、儂はこの国の王じゃからな」


 すらすらと吐き出した王の言葉は、しかし自分に言い聞かせているようにも聞こえる。王の瞳が、僅かに翳った。


「王よ」


 ミルノスが静かに口を開き、王を見据える。


「私は、この国を愛しています。そこかしこで笑顔が生まれるこの国が。伽藍洞だった私の心に、愛を注いでくれた者たちが住むこの国が。愛する妻と娘の住むこの国が。そして、唯一無二の恩人たる我が王が、心血注いで作り上げたこの国が」

「……ミルノス」

「……はっきり申し上げておきますと、勝率は限りなく低いでしょう。それでも、奴らは私が退けて御覧に入れます。必ずや、この国をお守りいたします」


 ああ、と王は心の内で声を漏らした。

 ミルノスの眼差しの、なんと力強いことだろう。国を、そして民を守るため、常に最前線で戦い抜いてきた戦士の眼。王はその瞳から、ミルノスが抱く意志の強さを痛いほど感じ取った。


「……よかろう。ならばミルノスよ、侵略者共へお前が最強たる所以を見せつけてやれ!」

「はっ!」

「——ただし! 国を守るだけでは足りん! お前自身も無事に帰ると約束すること、それが出陣を許す条件じゃ!」

「……!」


 王が追加したその条件に、ミルノスは大きく目を見開いた。

 それからばつが悪そうに視線を下げると、困ったように微笑んで見せる。


「……お見通しでしたか」

「当り前じゃ、部下の抱える気持ち一つ見抜けずに何が王か。特にお前は分かりやすいぞ、刺し違えてでも止めると顔に書いてあったわ」


 呆れたような表情で肩を竦める王に、ミルノスは僅かに逡巡した後「承知しました」と小さく返事をした。


「……敵を退け、国を守り、生きて王のもとへ戻ると誓います。……随分と、強欲な宣誓をさせられてしまいましたね」

「なあに、国王が我儘なんじゃ。部下にもこの程度は言ってもらわねば困るわい」


 ミルノスと王はしばし無言で見つめ合い、そしてどちらからともなく堪えるような笑い声を漏らし始める。

 今この時ばかりは二人の間に王と従者という垣根は感じられず、まるで親子のような気安さだけがそこにあった。

 ひとしきり笑い終えると、ミルノスはすっかり険しさのとれた顔で王に向けて言った。


「……では、私は出発の準備がありますので」

「……ああ、下がってよいぞ」


 ミルノスが無言のまま慇懃な所作で一礼し、静かに玉座の間を後にする。

 王は、暫しの間ミルノスが出て行った扉を神妙な面持ちで眺めていたが、やがて自身も立ち上がると寝室へと向かった。

 無人となった玉座の間で蠟燭の明かりが一際大きく揺らめき、それからふっと消えた。







「ぜあっ!」


 ぎぃん、と金属がぶつかり合う鈍い音が辺りに響き渡る。ここは王都から離れた荒野。ミルノスは、件の侵略者達と一人戦いを繰り広げていた。

 敵の数は四。今まさにミルノスが繰る巨大なハルバードと鍔迫り合いをしている剣士に、斧使いが一人。

 さらに、少し距離を空けて魔法使いが。最後にサポート役たるスタッフ持ちが控えている。


「はあっ!」


 力任せにハルバードを振りぬき吹き飛ばさんとするも、剣士はひらりと身を翻し距離を取る。

 強い。

 ミルノスは歯噛みしつつも、そう敵の実力を認めた。

 仮に一対一で戦うのであれば、軍配はミルノス上がるだろう。しかし、敵の真価はそこではない。四人がお互いの隙を消すように立ち回っている。それが厄介極まりない。

 念のため補足すれば、そこらの兵士が連携を行ったところでミルノスにとって脅威にはなり得ない。

 この四人が特別なのだ。まさに阿吽の呼吸と評すべきチームワーク。王国民が口を揃えて最強と呼ぶミルノスをもってして、この堅牢な壁は打ち崩し難い。

 もったいない。ミルノスは半ば無意識にそう思っていた。これが訓練であったなら、実に良い稽古相手であるのに。

 敵同士でなければ、出会った場所が違っていれば。せめて、言葉が通じたのなら。

 そこまで思考して、ミルノスはいやと頭を振った。今は戦闘中だ、余計なことに考えを割いている場合ではない。特にこのレベルの相手ともなれば、小さな気の緩みすらも死に直結する。


「ふう……」


 ミルノスは息を整えつつ、戦況の整理を行う。

 自分が今考えるべきは、どうやってこの難敵を打ち破るかだ。勝利にはまず奴らの連携を崩さなくてはならない。そのために先ずは一人、最優先でこの盤上から除外すべき者が居る。

 戦闘開始から暫く、未だ場が大きく動かない原因を作っている存在。奴を討ち取るためには。


「ふんっ!」


 ミルノスは剣士へと切りかかり、好機を待った。

 一合、二合。横合いから飛んでくる斧の一振りを避けて……三合目、ここだ。剣の腹を叩くようして大きく弾き、剣士の体勢を崩す。斧使いも腕を振りぬいた直後だ、即座に動けはしない。唯一の懸念は魔法使いだが、魔法はその性質上着弾するまでにラグがある。ならば、ミルノスの方が早い。

 力一杯に踏み込むと同時、砲弾のような速度でミルノスの体が射出された。向かうのは、スタッフ持ちの元。奴こそがこの膠着状態の元凶。地力で勝るはずのミルノスが、剣士と斧使いの前衛二人に対して思うようにダメージを与えられていない所以。

 今のうちに、こいつを潰す。おそらく、こいつにミルノスの攻撃を受ける手段が無いであろうことは分かっている。ミルノスはハルバードを両手で振り上げると、全力をもって打ち下ろした。


「……っ!」


 どごぉん!!!


 爆撃のような破砕音と共に衝撃波が吹き荒れると同時、ミルノスは大きく目を見開いた。

 もうもうと立ち込める砂煙の中から、スタッフ持ちを庇うように立ち、自身の一撃を柄で受け止めている斧使いが姿を見せる。

 なぜ。今のタイミングでこいつが間に合うはずがない。ミルノスの頭を疑問が埋め尽くす中、視界の端で魔法使いがワンドをこちらへ向けて呼吸を荒くしているのが見えた。なるほど、咄嗟に何らかの魔法を発動したか。その様子から状況を察したミルノスは、ならばと即座に斧使いを倒す方向へ舵を切った。

 目の前に居る斧使いは、既に先の一撃で片膝を地につき苦悶の声を上げている。足元に蜘蛛の巣状の罅が入り、陥没する程の衝撃だ。まともに受けて生物の形を保っているだけでも驚嘆に値しよう。

 だが、それもこれまで。二度目は確実に耐えられまい。

 再度ハルバードを天に掲げ、動くことすらままならない斧使いへ引導を渡そうとしたその時。


「ぐぅっ……!」


 突風と共に巻き上がった砂塵が、ミルノスの視界を奪った。如何に最強たるミルノスといえど、生物である以上砂が吹き付ける中で目を開くことはできない。やられた、と思いながらも反射的にハルバードを薙ぎ、風圧で砂を吹き飛ばす。しかし、その一瞬があればやつにとっては十分だった。

 明瞭になったミルノスの目に映ったのは、何事も無かったかのように斧を構え、こちらを睨みつける斧使いの姿。


「ちぃっ!」


 思わず激しい舌打ちが漏れる。

 また、回復された。

 これだ、これが実に厄介。スタッフ持ちはやつらの回復役だ。だが、驚くべきはその速度と性能。剣士に負わせた深い切傷は、ものの数秒で痕すら残さず治された。確かに切断したはずの斧使いの左腕すら、数十秒程時間を稼がれた末に元通りにしてみせたと言えばその恐ろしさが伝わるだろう。

 まったくもって嫌になる。ミルノスは頭痛がする思いだった。

 端的に言って、あのスタッフ持ちを殺さない限り勝ち目はないだろう。このまま戦いを続けても、いずれ疲弊してこちらが負けるだけ。

 如何にかして、奴をもう一度狙う。ミルノスは努めて冷静に、脳内で作戦を立て始めた。







 眼前に迫りくる斧をハルバードで受け止め、横から突っ込んでくる剣士を蹴り飛ばす。地面を転がる剣士へ斧使いの意識が逸れた瞬間、ミルノスはハルバードの背から伸びた突起の隙間で斧を挟むように固定した。

 しまった、とばかりに斧使いが顔を歪めるがもう遅い。武器を捨てるか、奪い返すか。選択しなければならない。刹那の迷いの末、斧使いはその両腕に力を込めた。どうにかして斧の自由を取り戻すつもりのようだ。だが、それはあまりにも無謀というもの。斧使いが力でミルノスに劣るというのは既に証明されている。

 離さないというのならその体ごと放り投げてくれる。ミルノスが全身に力を漲らせようとしたその時。


「——がぁっ!」


 頭上から降った閃光が、轟音と共にミルノスを貫いた。瞬間、全身が痙攣し体の自由が奪われる。おそらくは魔法使いの放った雷魔法だろうと察するも、直撃を受けた以上どうしようもない。

 ミルノスは気合で武器を取り落とすことだけは防いだが、斧使いには逃げられてしまった。これだけの威力を誇る魔法でありつつ、斧使いには一切余波が行っていない。それだけでも魔法使いの練度の高さが窺える。

 戦闘の継続は可能だ。だが、決して浅くはないダメージを負ってしまった。決着を急ぐ理由が増えた。

 奥の手を使うべきだ。

 ぶすぶすと黒煙を上げる体で、ミルノスはそう判断した。

 魔力量の少なさ故に、一日一度が限度の魔法。ミルノスが扱える唯一の魔法だ。だが、その威力は折り紙付き。

 ミルノスは手に持つハルバードをす、と腰だめに構えると、眼前の敵を見据えた。警戒した様子を見せる四人から意識を逸らさずに深呼吸をする。そして集中が十分に高まった瞬間、魔法を発動しながら全力でハルバードを横一文字に薙いだ。

 距離、障害物、硬度。そのすべてを無視し、視界に映る対象を切り伏せる奥義。これが、ミルノスが一対多の戦闘において有利足る所以。戦場において、幾度となく自軍を勝利へ導いてきた技だ。

 そんな勝利の象徴が、今まさに四人の敵へと襲い掛かり。













 直後、ミルノスの全身から鮮血が噴出した。






 なんだ。

 なにをされた。

 真っ赤に染まる視界で、ミルノスは懸命に考えを巡らせる。霞む目を凝らせば、五体満足な剣士の手に割れた石のようなものが見えた。あれが、何かをしたのか。

 いや、そんなことはどうでもいい。早く構え直せ。焦燥感に苛まれつつもハルバードを構えようとし、ミルノスは自身が膝を付いていることに漸く気づいた。

 いつの間に。足に力を込めるも、思うように立ち上がれない。まずい、剣士がすぐ近くまで接近している。

 剣士の振るう直剣が、自身の首筋に吸い込まれていく。時の進みが遅くなったような感覚の中、ミルノスはいやに鮮明なその様を眺めていた。

 回避。足が動かない。

 防御。腕が上がらない。

 反撃。間に合わない。


 万策、尽きたか。


 死。

 死。

 死。


 溺れるほど濃密な死の気配が、すぐそばに。







『パパ! お花あげる!』

『良かったわね、あなた? ……って、ふふっ。泣くほど嬉しかったのね』




『……ねえ、隣歩かないでよ』

『こら、お父さんにそんな言い方しないの。まったく、反抗期真っ盛りって感じねえ……』




『……その、パパ。……ちゃんと、帰ってくるよね?』

『大丈夫よ、パパはこの国で一番強いんだから! ……ね、あなた。私、信じてますから』







「……ぅ、ぁぁああああああっっっ!!!」


 裂帛の気合を込めた雄叫びを上げながら、ミルノスは残り少ない魔力を滅茶苦茶に活性化させた。国のため、王のため。そして、自身の帰りを待つ家族のため。ここで斃れる訳にはいかない。

 今まさに自身の首を刈り取ろうとする直剣を防ぐにはハルバードが必要だ。けれど、ミルノスの腕はもう動かない。ならばどうするか。

 足元の地面が爆ぜ、衝撃でハルバードが跳ね上がる。魔力の暴発、それは魔術を学び始めた初学者がやりがちなミスである。それを、わざと発生させた。

 暴発のエネルギーで押し上げられたハルバードが、迫る直剣の腹に激突して軌道を強引に逸らす。首の皮一枚だが、確かに命を拾った。ここからが、反撃。腕は動かないが諦めるものか。目の前に浮いたハルバードの柄に嚙み付き、万力のような咬合力で固定する。

 予想外の事態を前に、剣士は呆気にとられ硬直していた。今が好機だ。首の捻りだけでハルバードを振るい、剣士の首を掻っ切ろうと——。





 ざんっ。



 どさっ。




 首から上を失ったミルノスの背後で、斧使いが武器を振りぬいた姿勢のまま立っていた。







「『こうして、勇者たちは牛のような頭を持つ悪しき怪物を、見事に退けたのでした』……はい、今日はここまでね」

「えー、もうちょっとだけ!」

「駄目よ、もう夜遅いんだから。早く寝なきゃ」

「けち……。ねえママ、勇者ってほんとに居たんだよね?」

「そうよ、もう二百年以上も昔のことらしいけどね」

「じゃあさ、オレも勇者みたいになれるかなあ?」

「……勇者になりたいの?」

「うん! 勇者ってたくさん悪い魔物を倒して、たくさん人を助けたんでしょ!? それってさ、かっこいいしすごいじゃん!」

「……そうね。でも、それなら尚更早く寝なさい。勇者様みたいに強くなれないわよ?」

「……それはやだ! おやすみ!」

「はいはい、おやすみなさい」




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