青春は電車に揺られて。鉄道研究会の一年間

 大阪第一産業高校には鉄道研究会がある。「撮り鉄」の高校二年生の播磨伸司が出会った新入生の矢立瀬戸は、電車の奏でる音が好きな「音鉄」の女の子だった。彼女を加えて個性豊かな先輩部員たちとの新しい一年間が幕を開ける。

 鉄道研究会という一見マイナーで、なかなか馴染みのない部活の日常風景が新鮮です。

 乗り鉄、車両鉄、時刻表、写真、模型、駅弁、そして音鉄。伸司や瀬戸ちゃん、先輩たちも、それぞれ「好き」はバラバラだけど、お互いの趣味を認め合う雰囲気が心地よく、鉄道マニアたちの賑やかなトークに思わず頬がゆるみます。鉄道に詳しくない素人でも、魅力がしっかり伝わってくるのが嬉しいです。

 休日には、部員揃ってローカル線で旅をしたり、車両整備を見学したりと意外とアクティブ。ときには旅先の温泉や名物料理を堪能したり、ときには撮影のために過酷な山登りをしたりと大変なこともあるけれど、現地でしか味わえない、ちょっとした旅の感動のあれこれが楽しいんですよ。

 部活動を通して少しずつ近づいていく伸司と瀬戸の関係ももどかしい。電車の響きと共に揺れ動く若者たちの純情が眩しい青春群像劇です。


(「レールの上の私たち」4選/文=愛咲優詩)

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