先生を殺した二文字の言葉
泉紫織
プロローグ
参列者の中には、見知った顔はいなかった。
花と一緒に英語の教科書を手向ける。
「先生、どうして死ぬことを選んだんですか。あの時私に言ったことは、やっぱり間違っていたってことですか——」
涙は流れなかった。ただ、先生と交わした過去の会話が、今でも私の中ではっきりと意味を成すあの日が、鮮明に甦ってくる。
そこには、キラキラした輝く青春などカケラもない。そこにいたのは、現状に怒りを燃やし、憧れの人に根底の不満をぶつけるだけの醜い中学生だった。
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