我が永遠の魂は、SPF50+ PA++++に捧げる
あたしちゃんと俺君執筆委員会
第1話 魂をSPF50+ PA++++に捧げた男
アール・カストロ・ヴァレンティンは、齢400を超える吸血鬼である。
彼の魂は、ただ一つ、古の呪いが許さない真昼の太陽の光を渇望していた。
その欲望が、極東の美と科学に彼を向かわせた。
彼の地下室は、今やシセイ堂の最高級美容液や、フッ素系コート化粧品で満たされた倉庫だった。
「呪いではない、クリームだ!
シセイ堂が肌の土台を整え、フッ素の盾が防御のバリアを完成させる!
私は、この技術力に魂を捧げる!」
数週間後。ルーマニアの山頂、古城の屋上。
太陽が真上に輝く、正午の光の中。
アールは、最新の高性能スマートフォンを三脚に固定し、世界に向けてライブ配信を開始した。
タイトルは、
『デイウォーカー爆誕! 呪いを解いたのは、日本の美粧技術だった件』。
「ハロー、マイ・フォロワーズ。」
アールは優雅に微笑み、正午の太陽の下に立つ自身の姿を画面越しに確認する。
熱くない。
燃えない。
フッ素の盾は完璧に光を弾いている。
そして、その配信画面に映し出された自身の顔を見て、彼は一瞬、息を止めた。
画面に映る自分の肌は、完璧だった。
それは、かつて彼を魅了した若き伯爵夫人の滑らかで透明感あふれる肌と寸分違わなかった。
「シセイ堂は、私に太陽を与え、そして、あの永遠の美を与えたのだ!」
アールはカメラに向かってウインクし、シセイ堂の最高級美容液の瓶を取り出し、
天に掲げた。
「真のヴァンパイアは、もはや古き呪いなど必要としない。
魂は、一滴の血ではなく、完璧な肌(SPF50+ PA++++)に宿るのだ!」
そしてアールは、世界中の吸血鬼が羨望する中、昼間の社交界へと颯爽と歩き出した。
・本作は、実在の人物、団体、出来事などに着想を得た パロディ作品 であり、完全なフィクション です。
・登場する人物や団体は、モデルとした実在の人物・団体とは一切関係がなく、その思想、信条、あるいは事実関係を反映するものではありません。
・特定の個人や団体、吸血鬼を誹謗中傷する意図は一切ございません。
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