ノンフィクション
@SNZNOKT
私と幼馴染の関係
私は新木 佳奈(あらき かな)
私には友達がいない、いつも机の座っているような人間だ。
何故友達がいないのかって?
そんなの私のそばにいると、人は必ず不幸になるからよ。
偶然なんかじゃない。
何度も、証明されてきたこと。
でもそんな私にも、男の幼馴染がいる。
「お〜い、森! 昨日のサッカーすごかったんだって!?」
「おう! ばっちしシュート決めたぜ! アレは個人的にもよかったな」
「マジかよ! 相手って確かサッカー部のエースだろ? しかもこの学校のサッカー部って
県内トップだろ。そんな部活の中のエースぶっ倒すなんてお前ヤバイな!」
「正直アレはたまたまだよ、もう一度やったら流石に負ける」
「でもよ、一回勝っただけでもヤバイだろ!」
と森に話しかけた男子は笑いながらそう言った。
そう、私の幼馴染、辰巳 森(たつみ しん)それが彼の名前だ。
彼とは昔はよく外で遊んでいたが、最近はめっきりなくなってしまったの。
まぁ主に私が原因なのだけど。
でも、仕方がないのよ! 彼ったらどんどん顔とかさ、性格とかもいい方向に成長しちゃっ
て、そして何故かおまけ程度に文武両道なのよ!
意味が分からない! どこの主人公よ!
※この作品の主人公
って私、誰に話してるのかしら‥…
考えるのは辞めて、本でも読もう‥…
◇
チャイムが鳴り、帰りのHRが終わった。
私はすぐに帰宅しようとしたら‥…はぁ‥…
「おーい、佳奈〜一緒に帰ろ〜ぜ〜‥…?」
(知らんぷり)
「おーい‥…お前聞こえてるだろ!」
「––––––? どうしたの?」
「この状況で惚ける方が無理あるだろ‥…」
「はて? 何のこと? それより何の用? 私これでも忙しいのよ」
「だろうな、常に学年1位をとるような奴が忙しい訳が無い」
「あら? 嫌味かしら? 私はスポーツが苦手なのに、対して貴方はどっちもいけるじゃな
い」
「いやそんなつもり無いんだけど‥…」
「冗談よ、一緒に帰りたいんでしょ?」
「うん! お前と帰りたい!」
「 ––––––そ、そう! じゃ、じゃあ帰りましょう!」
「うわ、またあの女、森君と帰ろうとしてる」
「幼馴染だからって、ねぇ?」
「それにあの女、アレでしょう?」
「”呪われ姫”でしょう?」
「––––––呪われ、か」
◆
歩いて数分、私たちの帰りはよく通っているところがある。
それは書店だ。
何を隠そうこの私は、読書家なのだ。
私の友達=本
そのレベルで私は本が好き。
だが今日の私は、前に買った本を全て読み切ってしまい終わった後ずっと退屈であった。
私はいつものようにルンルンになりながら、最近は書店の近くが工事で通り難い中、森の手を引っ張って、書店へと連れ込んだ。
どうでもいいが森はとても顔を引きつっていた。
叩いた。
私たちは書店に入ってすぐに、あっちら、こっちらと周った。
そしたら、森が急に突拍子もないことを言った。
「結局さ、佳奈ってどんな本が好きなんだ?」
と聞かれた。そして私は即答した。
「これ! ”神話の御伽噺”」
「なんだそれ?」
「確か内容は‥…」
◇
とある神のお話。
神はずっと1人で孤独に過ごしていた。
1、10、100いや1000年はゆうに超えている。
そんな神がある時、1つの種を拾った。
いつもなら素通りするはずだったが、何故だか神は運命を感じ取っていた。
神は早速と家へと帰り、種を庭に植えた。
そして、日に日に植えた種は成長していき、木へとなった。
そしてそこから、木から実が実っていた。
そして更に、成長し実が大きくなると突然実が落ち、割れてしまった。
そこには、なんとも麗しい女性が立っていた。
だが、神は慌てて自分の羽織っていたものを着せた、何故ならその女性は文字通り生まれた
ままの姿なのであった。
流石にそのままでは良くないと考えた神は家に女性を入れ、自分の服をあげた。
そして、神は今一度状況を振り返り、女性に提案を持ちかけた。
「な、なぁ、お前一緒に暮らさないか?」
「––––––––え?」
と唐突に言い出した。
何分、神は1人の時間が多く女性以前に話すことに不慣れであった。
だからあまりにも直接的な言い方に女性も驚いた。
でも女性はこう返した。
「いいの、ですか?」
「あ、ああ、お前育てたのは俺だからな、責任は俺にある」
「––––––––ありがとう、ございます。これから、よろしくお願いします」
女性はそう言い、深々と頭を下げた。
それからというもの、2人の関係は良好であった。
人っ子1人いない森だったが、神には女性が、女性には神がいた。
そしてある日、神は女性にあることを尋ねた。
「お前、名前はないのか?」
「今更、ですか?」
と最もな意見を言われてしまい、神は少し狼狽た。
「だ、だが! 名前は必要だろ! もし無いのであるならつけてやる」
「い、いいのですか?」
「ああ、もちろんだ、うーん、名前、名前、うーん」
「あ、あの! わ、私は貴方様がそばにいてくだされば‥…」
と女性は言ったが神の耳には届かず。
「なら! 神姫なんてどうだ! ”神の姫”と書いてな」
「え、え〜! そ、そんな姫だなんて!」
「そ、それに本物の神様である貴方様に神という称号をつけられてしまうとちょっと‥…」
「何だよ、そこまで重く捉えなくていいさ」
「それに、ずっと隣にいて欲しいんだろう? なら神の隣に相応しいのは神の姫だ!」
「––––––––––!」
「そばにいてくれよ、神姫!」
「––––––––––はい!」
こうして更に仲が深まった2人であったが、またある日、突然の出来事が起こった。
”神姫が殺された”
神が少し木を切りに行っている間に。
戻って来た時にはあまりにも遅かった。
そして誰が神姫を殺したのか、それは神とはまた別の神であった。
でも何故、神姫が殺されてしまったのか、理由は簡単だった。
それは神は邪神で追われる身であったから。
神は生きているだけで他のものを不幸にしてしまう力を持っていた。
そしてそれが原因で邪神と呼ばれていた。
本人に不幸にする自覚がなくとも、とても厄介なものであった。
そんな邪神に対し他の神は、冷たい視線、心の無い暴言、しまいには力を使って危害加えて
きた。
そんな耐え難い時間をずっとずっとずっと、耐えて耐えて耐えて、生き続けてきた、彼は腐
っても神であったが故に死ねなかった、だがある日とある神がこう告げた。
「消えろ、この世の全てから嫌われた”呪われた神”よ!」
「お前の力は確実に周りを”不幸”にする」
そうして神は逃げた。遠い、遠い、遠い森へ。
全ての神では無いが邪神を打つことのできる神もまた存在する。
でも神は死ぬつもりなど毛頭なく、静かに生きた。
そんな中で出会ったのが神姫、正しくは種であった。
嬉しかった。神はただただ嬉しかった。神を知らない神姫は普通に接してくれるのが。
罪悪感はあったでも怖かった。知られるのが、話すのが、もう暮らしていけなくなると思っ
た。
「おい! 神姫! 神姫!」
「––––––––––ご、ごめんなさい‥…」
「なんで謝る!」
「あ、あなたさまも、ごぞんじ、だと、おもいますが、わ、わたしは、ひとで、は、ありま
、せん」
「ひと、は、わたしが、み、から、うまれて、くるのが、きも、ちわる、く」
「もういいから! 止血する、だから!」
「ひ、とは、ことなる、いきもの、を、いみ、きらい、ます‥…」
「で、でも! あ、あなた、さまは、わた、し、を! ひととして、みてくれた!」
「––––––––––!」
「はな、しは、ききま、した、あなたさまも、い、しょ、だ、と‥…」
「そし、た、ら、わたし、は、ほん、とうの、いみで! やくに、たち、たかった!」
「でも……わたし、は、あな他の、ふるき、づを、えぐって、しまった‥…」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん、なさい」
先ほどまで口を開く事さえ、キツかったはずなのに、謝罪の言葉は最後まで紡いだ。
神である彼は”無力”だった。
神であっても1人では変えられないものもある。
そんな哀愁が漂う家に1つの影が神の背後に‥…
「–––––––––––!」
背後からの一撃、神である彼をいとも簡単に倒せるものなど決まっている。
”神”であった。
殺されている最中、神は言った。
「–––––––––––だい、じょうぶ、それ、でも、ちゃ、んと、そばに、いるよ‥…」
これが神の最後であった。
◆
「–––––––––––っていう内容」
「重いわ!」
「そう?」
「御伽噺ってもっと子供向けのイメージがあったわ」
「でも私は好きよ」
「いやまぁ、よかったけど‥…」
「これ買っちゃお」
「え? 持ってないのか?」
「いや、あるわよ?」
「え? じゃあいらなくね?」
「何言ってんのよ、好きなものはいっぱい買うのが常識よ」
「何それ怖い」
「さ、さっさと買って帰りましょう」
そして私は会計を済ませて外に出た。
「じゃ、いつも通り解散だな」
そう言って彼は背中を向けた。
そしてそれに対して私は‥…
「うん‥……ねえ、森」
彼は振り返り、不思議そうにこちらを見つめた。
「どうした? 急に?」
「–––––––––––もう、私に関わらない方がいいよだって、私”呪われ姫”、だから」
「–––––––––––」
「だから、さ、もう無理し‥…」
上から音が鳴った、隣の建設中のところからものが幾つか降って来た。
「–––––––––––!」
突然のこと過ぎて、状況が飲み込めなかった私は”死”を感じた。きっとまたいつもの不幸かと一瞬思ってしまった、これだ、コレのせいで森に迷惑が掛かってしまうんだ、ならいっそ、ここで‥…
––––––––––––––––––––––––––だが
「–––––––––––へ?」
私にものが落ちてくる事はなく、代わりに何かに”抱きつかれた”。
「大丈夫か! 佳奈!」
「–––––––––––う、うん‥…」
私は思わず頬を染めた。
そんな最中作業員の人が駆け寄り謝罪した。私は「大丈夫ですよ」と言ったが後日何らかの形でまた謝罪するとの事だった。
そして数分話した後、森に話しかけようとしたが‥…
「"いるよ、そばに。だから離れるなよ!”」
「–––––––––––う、ん。ありがとう!」
”あの本”のように気持ちをいうのなら
私は嬉しかった。ただただ嬉しかった!
神姫の気持ち、今なら凄く伝わってくる。
私はまた一段とあの本が好きになった。
「ほら、大事な本、落としてたぞ」
「あ! ごめん、ありがとう‥…傷は‥…少しだけ、けど、よかった‥…」
「ああ、命があるだけ儲けもんだ」
「ふふ、そうね‥…? 何これ、小さく書かれてる」
私は後ろに小さく何かが書かれているのを発見した。
「? 見ていいか」
森はそう尋ねて、私は本を渡した。
そして、そこに書かれてあることを口に出して森は言った。
「”ノンフィクション”」
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