【番外編】ウザ絡み後輩とご機嫌ナナメ 江の島聖地巡礼

番外編：ウザ絡み後輩とご機嫌ナナメ江の島聖地巡礼

「おーい、カホ、そっちじゃないよ！」 ソウヤは呼びかけた。

「こっちだよ！今日は ぼっち・ざ・ろっく！ で行ったコースを、聖地巡礼するんだから…」

しかし、カホはガン無視してヨットハーバーの方へ歩いていく。

「私はそんなアニメ興味ありませんから…楽器やんないし…」 ご機嫌ナナメのカホはさらに言い放った。

「今日はセンパイとカホのデートなんです！」

デートをだしに聖地巡礼を企んだソウヤに、どうやら腹を立てているようだ。

「せっかくエスカーに乗ろうとしたのに･･･」

ヨットハーバー近くのカフェに入ったソウヤはまだブツブツ言っていた。 今までは「お金がもったいない」と乗らなかったエスカーも、聖地巡礼なら喜んで払うつもりだったのに…。

するとカホが反論した。

「いいですか、あのアニメは非リア充で海なんか行ったことがないひとりちゃんとか、お金のないリョウとか、キャラが立った登場人物がいたから成立したんです。 ふつうはエスカー乗ってソフトクリームをとんびに取られて、シーキャンドルに上ったみたいなベタなコースに行ってもストーリーにはならないんです。 作者は濃いキャラに甘えているんです！」

（やたら詳しいじゃん！カホ、アニメ興味ないんじゃなかったの？）

（しかも熱弁が止まらない…むしろファンでしょ…）

まくしたてるカホに、ソウヤはぽつりと返した。

「それって、カホの感想ですよね…」

「ソウヤどうしたの、キャラ崩壊じゃない？」 カホは困惑した。

（いや、キャラ崩壊してるのはむしろカホじゃない？）

その時――

警報音が鳴り響いた。

……目覚まし時計。

カホははっと目を覚ました。朝の7時。 今日はソウヤとのデートの日だ。

「なんか変な夢見たような気がするけど…なんだっけ…」

よくわからないけど･･･正夢にならないといいのに･･･とカホは思った。