未来で神様は猫を被った。

色採鳥 奇麗

プロローグ

荘厳なる結末

 燦々と輝く暖かな光が、鮮やかに染まる夕焼けの空を満遍まんべんなく覆い尽くしていく。

 まるで、無尽蔵に飛び交う流れ星の群生に、目の前で出くわしたような神秘的な光景。辺り一面に数多の軌跡を残しては、その軌跡を新たな光の筋がなぞっていく。

 私は、この光を知っている。


──それは死した者の魂を、来世へといざなう輪廻の理。


 光は、私を迎えに来たのだった。

 何を隠そう、私は数カ月前、道半ばで不幸にも命を落としてしまった死者だ。本来ならばその時に、私は新たな世界へと旅立つはずだった。

 だというのに、私には幸運にもチャンスが与えられ、未練がましく現世にとどまった。

 今となっては、その心残りもきれいさっぱり消え去っている。


 …もう、なにも思い残すことはない。


 ここは私の終着点にして、新たな旅路への出発点。 

 私はこれまでの、人生の軌跡を振り返った。


 誰も予期することのできないような、奇想天外のハチャメチャ人生…。


 この荘厳なる結末に至るまでの、大好きな人たちとの運命の旅路を……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る