第27話
漁村での激戦から数刻後。高天原の日嗣(ひつぎ)の宮は、重苦しい静寂に包まれていた。
広間の隅、
「むずむずする……なんか、お腹の奥がむずむずするの」
「ふふ。それはね、
(あれ?なんだか、この子の……体が小さくなったみたい?)
「ううん。あれ?逆だ。なんだか、少し大きくなっちゃったみたい……??うーん、しろ、わかんなーい」
その時、宮に緊張が走った。
「皆、待たせたな。これが、かの異形の守りし生命の雛形と、その残照だ」
「
移された赤子の亡骸と淀みは、神殿の清浄な祭壇に丁重に安置された。
「この淀み、我々が知るいかなる穢れとも異なる。まず、私が
その瞬間、祭壇の上の淀みが、まるで生きているかのように激しく痙攣し、
「くっ……!」
「
「儂に代われ、
高天原の広間で待機していた
(これは……! 数多の魂の集合体だと!? しかも、この感情は……この世界のものではない?!)
その時、
「ききょう!」
「
「……この人は、辛く、悲しい思いを、してきたんだね……」
(しまった……!
「
「な、なんだと……!」
(儂が
成長した
「悲しい気持ち、わかるよ……」
彼女の小さな手から、淀みとは比べ物にならないほど暖かく、優しく、純粋な金色の
すると、赤子の亡骸から、微かな生命の光が揺らめいた。その光は、憎悪や悲しみを洗い流すように、淀みを
『……ああ、貴女様は……』
浄化された魂の集合体から、女の子の澄んだ声が響いた。
『この子は、暖かくて、とても強い子だね……』
魂は、
『我々は、神として産まれなかったから、こんな所まで行き着いてしまった。望まれぬまま、あやつに体良く利用されてしまった……。申し訳なく思う、正しき世界の神達よ』
それは、世界の
光は、
『
魂は、
「……お姉、ちゃん……」
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