第25話
(この炎の壁が破られたら、次は結界、そして村人が……!)
蛾の異形は、
「くっ……!」
その瞬間、夜の闇を切り裂き、青白い閃光が奔った。
「
声と共に、
その衝撃が収まると同時に、壁の上から、凛とした蒼の装束を纏った長身の男性が、軽やかに舞い降りてきた。長く流れる青色の髪が、潮風になびく。彼の右手に握られていたのは、長身の
「
「
「俺は、新たに
蛾の異形は、突如現れた新たな強敵に警戒心を
「
蛾の異形が撒き散らす霊力を腐敗させる
蛾の異形は、水を恐れることなく、俊敏な動きで
「ほう。霊力を腐敗させる
異形は完全に
「今だ、
二柱の
まず、
「吹き荒れろ激流! 」
海面から
ゴオォッ!
風は水と一体化し、凄まじい
バリ、バリバリッ!
無数の氷の粒は、さらに鋭利なつららへと結晶化し、体表を
「今ですわ、
「心得た!」
蒼い霊力は、
氷と炎の連撃は、凄まじい熱と冷の破壊力を生み出した。
異形の体は、外側から水と風によって
巨大な蛾の異形は、苦痛の金切り声を上げる暇もなく、黒い
パァァァン!!
表面が冷やされ硬くなった異形の巨体は、内側から発生した爆発的な熱の圧力に耐えきれず、内部から粉砕され、凄まじい轟音と共に砕け散った。その残骸は、瞬く間に清浄な水蒸気と光の粒子へと変わり、夜空に消えていった。
「やりましたわ……
「貴様の炎のおかげだ。よく持ちこたえた」
一方、
(この異形は、
巨大な怪物が、
そして、巨大な怪物の足元から頭部にかけて、
静かに剣を納める。その動作は、まるで剣術の舞を見ているかのように優雅で、全く
次の瞬間、巨大な異形の怪物全体に、微かな振動が走った。
「グゥ、ア……ア……」
怪物は、苦悶の声を上げながら、その巨大な肉塊を維持できなくなり、急速に崩壊を始めた。
その崩壊の様は、先ほどまでの
「
それは、まるで巨大な生物の「ゆりかご」のようであり、その内部には、微かな霊力の
この「へその
赤子は、死んでいた。
その髪は、黒と白が混ざり合った、まるで黒髪が
「な……ッ、何を……!」
「あの異形は、この小さな命を守るために、村人を
赤子から発せられる霊力は、死してなお、
「この子は、一体、何者だ……誰が、何のために、これほどの
「ただ一つ……知っていただきたいのは、世界は一つではない、とだけ」
「世界は一つではない……? まさか、あの
この粘液こそが、
夜風が、戦闘の終わりと、新たな戦いの始まりを告げるように、静かに吹いていた。
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