第17話
西の
高天原の一室。
部屋の外で待機していた
「……
「見事に、成功した。観測者の言葉通り、
「儂に……抱かせてくれ、
「……これが……
「観測者の申した通り、この子の命を繋ぐには、我々が親代わりとなり、その力を正しく導かねばならぬ」
時を同じくして、日ノ本の
「……玄武、朱雀。久方ぶりだな。まさか、このような状況になろうとはな」
威厳ある青龍が、古風な口調で口火を切った。その視線は、既に集まっている他の二柱の神に向けられている。
「まさか、西の
朱雀が、女性的な口調で、静かに悔しさを滲ませる。
最後に現れた玄武は、重々しい足取りで中心へと進み出た。 「……さて、本題に入ろうか。八咫烏よ。
一羽の八咫烏が、三神柱の前に舞い降り、恭しく頭を垂れた。 「はっ!
八咫烏は、西の洞窟での
八咫烏の報告が終わり、再び深い静寂が訪れる。三神柱は、それぞれの表情で、その重い事実を受け止めていた。
「……最高神
玄武が、重々しい声で呟いた。その言葉には、深い責任と自省の色がにじみ出ている。
「まさか、一人の幼子が、この世界の命運を背負い、そして、赤子にまで戻るとはな。
青龍が、眉を
「ただ見ているしかできなかった我らの不甲斐なさ。朱雀の名が廃るというものよ。神であるからと、
朱雀は、自らの無力さに、唇を噛み締める。今回の経験は、朱雀の心に、深い悔恨と、そして新たな決意を燃え上がらせていた。
やがて、玄武が、ゆっくりと顔を上げた。その瞳には、揺るぎない覚悟の光が宿っている。
「……結果として、日ノ本は救われた。だが、それは我らの功にあらず。一人の幼子が、その代償として全てを失った。この責任は、我ら神々が負うべきものだ」
玄武は、周囲を見回す。青龍も朱雀も、真剣な眼差しで玄武の言葉に耳を傾けている。
「我らは、人間たちの危機に、遠くから見ているだけしかできなかった。それでは、何のための神か。
玄武は、今回の事件を、神々への強烈な戒めと受け取った。
「故に、今後は、自負の念を込め、積極的に人間たちと関わろう。彼らの危機に、遅れることなく立ち上がろうではないか。
玄武の言葉は、会議室に力強く響き渡った。青龍と朱雀は、その言葉に、深く頷いた。
「うむ。玄武の申す通り。もはや、我らは昔ながらの古典的な風習に囚われておる場合ではない」 青龍が、賛同する。
「ええ、その通りよ。この不甲斐ない過去は、わたくし達の心に深く刻み込まねばならないわ」
朱雀もまた、玄武の意見を支持した。
「ならば、
玄武は、厳かに告げた。
「
八咫烏は、その言葉を胸に刻み、再び高天原へと飛び立っていった。 神々の決意は、新たな時代の幕開けを象徴していた。
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