第5話
その言葉に、広間に沈黙が走った。
それを、今しがた人の身から変質したばかりの、未熟な魂に与えたというのだ。
「馬鹿な……!
彼の声には、憤怒と恐怖が混じっていた。
「
「ふん。そうだろうな。お主がそう
「しかし、この子を救うには、これしかなかったのじゃ。これらの力は、それぞれがこの子の不安定な体の根底を支え、いずれ芽吹くであろう。その時、この子は己の意思で、その力を振るうことが出来るようになるはず」
その時だった。
「……う、ん……」
少女の小さな唇から、微かな声が漏れた。 ゆっくりと、その瞳が
少女は、開かれた瞳で、虚空(こくう)をぼんやりと見つめていた。しかし、その瞳には、まだ何も映っていないかのようだった。 そして、その小さな体が、ピクリと
「……ッ!?」
その瞬間、少女の体から、強大な妖気が、無秩序に噴出した。
「な、なんだと!?」
少女は、まだ意識が覚醒しきらないまま、無意識のうちに暴れ始めた。 その小さな手から、青白い妖気が
「落ち着くのだ! 儂の声が聞こえるか!?」
「大丈夫……。恐れることはない……。儂が、儂がそばにおるぞ……」
宮殿の広間は、少女の暴走する力によって、見るも無残な姿へと変わり果てていく。 その時、一本の太い石柱が、
「
だが、それよりも早く、
「
(……我も、出来ることなら、
宮殿の広間は、少女の暴走する力によって、見るも無残な姿へと変わり果てていく。 しかし、
彼らは、
「
目の前の
やがて、
「……大丈夫。儂が、お前を守る。今度こそ、必ず……」
亡き
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