大切な想いは、冬の透明な空気にそっと溶けてゆく
- ★★★ Excellent!!!
ガラス越しに揺れるイルミネーションは、あの日の淡い好意の輪郭を静かに照らし出す。言葉にならなかった思いは、湯気のように立ち上っては消え、また形を変えて戻ってくる。
キャラメルラテの甘苦さ。焦がした砂糖の香ばしさ。舌の上に残るその余韻が、胸の奥の微かな揺らぎと響きあう。
たった一杯の温度と香りが、心の奥で眠っていたものに、そっと触れる。
その先に続く気配は、まだ名前を持たないまま、静かにそこにある。
通り過ぎていく人波をずっと見ていた。
イルミネーションの向こう側をずっと見ていた。