必ず生還する人

天使猫茶/もぐてぃあす

とても運が良い

 まだ産まれたばかりのときのことである。大病を患って死にかけたことがある。

 小学生のとき。学校で集団食中毒があったが、風邪をひいていたので私だけは難を逃れていた。

 中学生のとき。海で足がつってしまい、ライフセーバーの人があと少し遅れたら手遅れになってしまうところだった。

 高校生のとき。歩いていたら目の前に植木鉢が落ちてきて、欠片で少し手を怪我した。

 大学生のとき。車に撥ねられて、打ちどころが悪ければ危なかった。

 そして、大人になってからも毎年のように、なにかしら危ない目に遭ってきた。だがどんなことがあった時でも私は必ず生還できた。

 そんなこともあって自分はとても運が良いのだろうと思っていた。



 そしていま。

 末期のガンで苦しみながら、死ぬような思いをしながら私は一つの恐怖に耐えている。


 ひょっとしたら私はまた死ねないのではないだろうか?

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