優しい夢への願い

夜、部屋の灯りだけが静かに揺れている。

綾乃は手元の練炭を見つめ、息を整えた。


「これで、会えるのかもしれない――」

現実の世界はもうどうでもよくなった。

悪夢も、痛みも、すべてを抜け出して、ただ綺良のもとへ行きたかった。


静かな夜、綾乃は身体を沈めた。

燃え尽きる炭の淡い匂いと、ノートに残された文字だけが、彼女の存在を告げていた。


綾乃がその後どうなったのか、誰も知らない。

ただ、夢の中の綺良が、彼女を抱きしめる声だけが、どこかで響いているような気がした。

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「優しい夢」に逃げたい いろは あめ @irohaneo_1103

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