第3話 ビジネス・カップル活動に関する基本合意約款(通称:偽装リア充協定)
協定日: 20XX年12月24日 プロデューサー(甲): 久我 奏真
タレント(乙): 星名 莉々花
第1章 総則
第1条(目的) 本契約は、甲および乙が「理想の恋人関係」を演じることにより、
以下の二点を達成することを目的とする。
対外的な復讐: 元恋人に対し「逃した魚は巨大だった」と後悔させ、精神的ダメージを与えること。
経済的な成功: 動画配信およびSNS活動による収益の最大化(目標:登録者100万人)。
第2条(役割分担)
甲(久我): 企画、撮影、編集、SNS運用、炎上対策、および乙のメンタル管理。
乙(星名): 出演、演技、「可愛さ」の維持(体重管理・肌ケア含む)、
および甲への絶対服従……
※ここは二重線で消され『甲への適度な協力』に書き換えられている)。
第2章 業務規定(撮影・演技)
第3条(スキンシップの等級) 動画の企画内容に応じ、以下の等級(レベル)に基づいた身体接触を行う。乙はこれを「業務」として遂行し、羞恥心を抱いてはならない。
レベル1(日常): 手繋ぎ、腕組み、服の裾を掴む、頭を撫でる。
備考:事前の許可なく行ってよい。
レベル2(胸キュン): ハグ(正面・背後)、壁ドン、顎クイ、「あーん(食事)」。
備考:原則として台本に従うこと。アドリブで行う場合は、カメラの画角に入っている場合に限る。
レベル3(緊急/高画質): 頬へのキス、抱き上げて回る、耳元での囁き、同室での就寝(未遂)。
備考:甲による特別手当(高級スイーツ等)の支給を必須とする。
レベル4(禁忌): 唇への接触。
備考:別途協議とする。無断で行った場合、セクハラとして訴訟の対象とする。
第4条(NGワードおよび禁止行動) 動画内において、以下の行動を禁止する。
素の表情: 乙の「冷めた目」「舌打ち」「鼻をほじる等の行動」は編集コストが増大するため厳禁とする。
キャラ崩壊: 甲を「陰キャ」「メガネ」と呼んではならない。「奏真くん」「ダーリン」等で統一すること。
第3章 私生活(プライベート)
第5条(学内での接触禁止) 正体の露見(身バレ)を防ぐため、学校内では「赤の他人」を貫くこと。
廊下ですれ違う際は、視線を合わせず無視する。
やむを得ず会話が必要な場合は、他人のフリをして「教科書貸してくれません?」等の敬語を使うこと。
第6条(連絡手段) 業務連絡はLINEを使用する。 ただし、乙は深夜2時以降に「寂しい」「眠れない」等のメンヘラ的・情緒不安定なメッセージを甲に送信してはならない。 甲はそれに対し、既読スルーする権利を有する。
(乙による追記:『ただし、緊急時(ゴキブリが出た等)はこの限りではない』)
第4章 報酬および経費
第7条(収益配分) 動画収益の配分は以下の通りとする。
甲: 60%(企画・撮影・編集・機材費負担のため)
乙: 40%(出演・美容代・衣装代負担のため)
(乙による猛抗議の落書き:『はぁ!? 私の顔面がサムネの9割でしょ!? 50:50にしなさいよケチメガネ!』 → 交渉の結果、50:50で合意済み)
第8条(デート代の負担) 撮影に伴うデート費用(飲食代・チケット代)は「経費」とし、共通口座から捻出する。 プライベートでの食事は割り勘とする。
第5章 契約の解除および罰則
第9条(恋愛感情の禁止/ラブ・バン) 本契約における最大の禁忌事項である。 甲および乙は、ビジネスパートナーに対し、恋愛感情(いわゆるガチ恋)を抱いてはならない。
判定基準: 「相手のことを考えて夜も眠れない」「他の異性と話していると胸が痛む(嫉妬)」等の症状が認められた場合。
罰則: どちらかの恋愛感情が発覚、または自白した場合、本ユニットは即刻解散とする。
違約金: 契約を破綻させた有責者は、相手に対し金100万円を支払うものとする。
第10条(秘密保持) 本契約の内容、および二人の関係が「偽物」であることを第三者に漏洩してはならない。
万が一、自己の過失により情報が流出し、炎上・特定に至った場合その損害を全額賠償するものとする。
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