1日目の誤ち
そんな日々を過ごしていると思っているよりすぐにその日がやってきた。
東北は遠いので電車で行くようだ。
「ねっむ...」
小声で独り言を漏らしたつもりが、父親の耳には届いていたようだ
「朝早いからな。まぁでも今回は運転ほとんどしなくていいから気が楽やわ」
そう自虐しながら話しかけてきた。
「今年はあいつおらんから運転めんどかっただけやろ」
そんな声が後ろから聞こえてきた。3つ下の妹だ。最近毒舌になってきて若干‘’あいつ‘’に似てきた。
そんな‘’あいつ‘’は3つ離れた姉のことである。
去年、一流ではないがそこそこ名の売れた企業に就職したのもあり逃げるように家から出たところだ。
まぁ両親に迷惑をかけ続けてたし、両親も姉に毎日のように怒っていたのでWinWinだったようだ。
ただ、今までは姉も運転を手伝っていたので今年から父親の負担が増えたかと思っていたが...今年は電車にするとは...
と、まぁ駅まで家族揃って歩き、家族揃って電車に乗り、新幹線に乗り、5時間半。
遂に東北、今回の目的地の岩手に着いた。
乗り換えがあったものの、ほとんど座りっぱなしは流石に疲れる。
扉が開くと地元とは違い、驚くほど澄んだ空気、そして一面の雪景色が目に飛び込んできた。
「「さむっ」」
妹と声が被った。地元ではこんなに寒くはなかっただけどな...
昼ごはんは東京駅で買った駅弁を車内で食べたので後は盛岡周辺を散策するだけだ。
と言っても初日は全員別行動で各々気になるところを回る予定だ。と言っても宿が中心街から離れているので17時には駅前に集合して、レンタカーを借り、宿まで向かう予定だ。
僕の予定はせっかくここまで来たので地元のお店を巡りながら10年くらい前にあった大災害の被災者さんに貴重なお話を聞こうと思う。
まずは駅弁だけでは足りなかったので目に付いたラーメン屋さんで小腹を満たすことに。
店主さんと話をしていると偶然宿のある地域が出身と言う。思っている以上に重い話が聞けた。また、このような話には興味があったのでもっと深く知るためにおすすめの施設を伺った。すると思っているより宿のすぐ近くに資料館があることがわかった。
話が思ったより盛り上がってしまい、結局ラーメン屋1件にしか行けなかった...まぁでも貴重な経験談が聞けただけでもラーメン1杯以上の価値があるので満足だ。連絡先も頂いたし帰りにでももう一度寄っていきたい。
そんなことを考えていると集合場所に家族が揃っていた。空はもう真っ暗で冷え込んできていたので早々にレンタカーに乗り込み、宿に向けて出発した。
2時間後、移動の疲れもありみんなご飯を食べお風呂に入るとすぐに寝た。
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