秘密の感情を抱いた彼女が打ち込んだ精一杯の楔
- ★★★ Excellent!!!
時々話題に上がるネットリンチ。自分が正義の側にいると思い込んだ大勢の第三者が、加害者を必要以上に攻撃する。その加害者が本当に加害者なのかの確認は、ネット上に流れた真偽の不確かな情報のみ。
この遺書を残した友人は、きっとここまで主人公が苦しめられるとは思っていなかったのではないかなと思いました。
打ち明けられない気持ちを罪という形で遺したかった。けれど実際に主人公が受けた懲罰は、友人が残そうとした罪に対する罰としては少し重すぎるように見えます。
たまたま主人公が命を断つという選択をしなかっただけで、もしそれを実行してしまっていたなら友人の本心も届かないまま。それはやはり、遺書を残した目的を果たせないと思うのです。
一番伝えたい人に伝えられない感情を持つことの苦しさと、ネット社会の恐ろしさ。静かな余韻と共に考えさせられる物語です。