住吉

栄の住吉はクラブやバーが多く若者の街。

この通りはそこら中でゲロを吐いた後があってあまり客層がいいとは言えない場所だ。

だからいつも客がいない時にたまに通りすぎるくらいにしていた。


住吉から中村区のお客さんだった。


コスプレをした若い女性でなぜかしくしく泣いていた。

同じ接客業でもそちらは大変なんだろうと思って黙って車を進めていた。

伏見あたりになると、

客「すいませんトイレ行きたいのでコンビニに止めてもらえますか」

私「はいわかりました」

ローソンに止まったが夜中はトイレを貸しだしてない店だったらしく、次のコンビニを探すことになった。


客「すいません、なるべく急いでください」

私「はい、ちょっと待って下さい」

焦って探すけど名駅あたりのコンビニはまたトイレ貸してくれない可能性が高いと思ってあえて通り過ぎた。

客「コンビニあったのに、もうっ早くしてよ」

私「・・・」

そんなこと言われてもと心の中で思ったがトイレを我慢する人の気持ちもわかるので急いで車を走らせた。

太閤通まで行ってやっとコンビニを見つけた。お客さんは急いで店に駆け込んだ。

これでトイレ使えないとか言われたら最悪の可能性もあるかもしれないと覚悟した。


10分後何事もなかったようにスッキリした顔でお客さんは出てきた。

客「ありがとうございます」

私「いえいえ」

心底間に合ってよかったと思った。

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