第11話 契約終了

「ここはな、まあ所謂仕事を斡旋する派遣会社みたいなもんだ。」


「はあ…」


「何人か派遣社員として契約しててな、大体皆フリーランスだ」


「はあ…」


「そいつらに合いそうな仕事があると大まかな内容と仕事料を紹介して相手が了承すれば仕事の詳細を提示して遂行して貰う。」


「はあ…」


「受けた仕事の仕事料は受けた後から変更は出来ないから、不服がある場合は受ける前の交渉だ。」


「はあ…」


「その場合は依頼者と相談になる。依頼者が賃上げ拒否をすれば他に回すか仕事は流れる。」


「はあ…」


「報酬は依頼料の70%で30%が此方の仲介手数料だ。」


「はあ…」


「仕事が終了して此方が確認出来たら納品精算書を提出して貰う。判子はシャチハタでも良い。」


「はあ…」


「支払いは月末締めの翌月の25日に指定の口座に振り込みだ。休日の場合は前倒しだな。」


「はあ…」


何か見た目渋いお爺さんが会社説明をするサラリーマンみたいな事を言っている…


「以上がここのシステムの説明だがここまでで何か質問あるか?」


「いえ…」



「じゃあ、ここがどんな仕事を斡旋してるか説明だ。」


「はい…」


「依頼者から始末して欲しい人間を消してもらっている」


「…」


「佐川さんが普段やってる事だね。」


ミロ君が口を挟んだ。


「そうか、なら話が早いな。まあ依頼は大体警察じゃ取り合って貰えない物が殆どだ。」


「佐川さん、元警察だからどんなか分かるよね?」


「そりゃまた話が早い。まあ、一応ウチのルールとして、反社の仕事は受けない。」


「はい」


「次に私利私欲の物も受けない」


「はい」


「まあ、毎回殺すだじゃない。命は取らないが社会的に抹殺と言うのも有る」


「はい。」


「ここまでで質問は?」





「あの…私…実はもう…自殺する気だったんですが…」


「後、付け加えるのは被害者をこの先も生きたいと思わせるのも仕事だ。」


「…」



「ここまで聞いたからには断れないし、自殺も許されないな。」


「そうですか…」


「まあ、仕事に関しては内容を大まかに聞いて断る事は出来る。」


「はい…分かりました…」


「じゃあ、また仕事が入ったら連絡する。ここに昼間も繋がる連絡先を記入しろ」


「はい…」



そう言われて記入欄に書き込んだ。


「それじゃ今日はここ迄だ。昼間は息子が店番してる。じゃあな。」


「はい…」


「後、俺の名前はおじいじゃねえ。須磨だ。」


「はい、須磨さん。」




そう言って店を出た。





「なーんか、ミロ君に嵌められた感じだなあ。」


「ふふふ」


「まあ仕方ないか。もう少し頑張ってみるか。」


「そう。良かった。」


「ミロ君が私の事友達って言ってくれたしね」


「そうだよ。佐川さんは僕の2番目に出来た友達だからね。僕が近くで守ってあげなきゃね。」


「そっか。ありがとう。私もミロ君が2番目に出来た友達だから大人しく守られなきゃね」


「じゃあ、友達だから今日で血の契約は終了ね。」


「そうね。あれ地味に痛かったから助かるわ」





「ふふふ、じゃあ、またね」

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