第5話 偽装工作

ピンポーン



「はい。」


「担任の柿安です。」


「柿安先生!?」


「大丈夫か?佐川、心配だから様子を見に家庭訪問に来たよ」





「どうぞ…麦茶ですが…」


「有難う。」


「すみません、色々あって…」


「聞いたよ。大変だったな。」


「いいえ、ご心配かけてすみません。」


「いいんだよ。学校の事は気にしないで。」


「はい…」


「理沙は勉強好きだろう?」


「はい。好きです。」


「プリント持って来たからちゃんと勉強するんだぞ」


「有難うございます。嬉しいです。」


「僕もだけど友達も心配してるからな。大和くんも。」


「先生!もう。大和の事は言わないで!」


「ははは。」



「喉乾いちゃって…おかわり貰っていいかな?」


「はい、いいですよ」




「どうぞ。」


「有難う。理沙も飲みな。」


「はい。」





ミーン…ミーン…ミーン…






ギシ…ギシ…ギシ…




「んっ…あれ…せんせぇ…」


「目が…さめた…?」


「あれ…何してる…の…?」


「理沙と…セックスしてるんだよ?…」


「えっ?」


「気持ちいい…?俺も…気持ちいいよ…」


「えっ?」


「初めては…好きな人と…しないとね…」


「えっ?」


「好きだよ…理沙…」


「えっ?」


「ちゃんと…大和に…見てもらおうね…」


「えっ?」


「動画…撮ってるからね…後で大和に…送ってあげるね…」


「えっ!?」





「もう…出る…ちゃんと…中にいっぱい…出したげるね…」



「やだっ!!やめてっ!?」






○○○○○○○○○○





「大和くんと何かあったの?」


「すみません、色々あって…」


「ひどい事されてる?」


「いいえ、ご心配かけてすみません。」


「大和くんと別れたいの?」


「はい…」


「理沙は僕の事好き?」


「はい。好きです。」


「僕も理沙が好きだよ。」


「有難うございます。嬉しいです。」


「大和くんに悪い事してるかな?」


「先生!もう。大和の事は言わないで!」


「ははは。」



「好きだよ…理沙…キスしても…エッチしてもいい?」


「はい、いいですよ」




この音声とレイプ動画が彼氏の元に送られた。





この後理沙は自殺した。




調べによると理沙が席を外した時に睡眠薬を混入された様だ。

音声は巧妙に編集されていた。


しかし強姦の証拠には弱く、合意の上の性交とみなされた。

睡眠薬も理沙が初めての性交が痛そうで怖がったから安心させる為と無茶苦茶な理由を述べた。


しかし未成年淫行と児童ポルノに該当し、5年以下の懲役となった。


相手側の弁護士も凄腕だった。


結局数年の刑期と幾ばくかの罰金で理沙の人生の幕は降りた。

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