第4話 友達
「ミロ君にはお友達は居る?」
「最近やっと1人出来たんだよ。ずっと独りぼっちだったんだけどね」
「そう。それは良かったわね!」
「うん。僕夜中しか動けないからね。初めての友達なんだ。」
「そっか。大切にしなきゃね、その友達は」
「そうだよ。何があっても僕が守ってあげるんだ。」
「うふふ、それは頼もしいわね。」
「佐川さんには居ないの?友達」
「居るわよ1人。長い付き合いのね。この間も会ってお喋りしたのよ?」
「そうなんだ。」
「私の事を知ってる唯一の友達ね。その人も私と似たような傷を持ってるの。」
「ふうん。」
「私みたいに子供は居なかったけどね。」
「そっか。」
○○○○○○○○
「お母さん!どうしようこれ!」
「何これ!何でこんな写真…」
「ポストに入ってた!怖いよ!」
娘が部屋で着替えている写真だった。
家は5階のマンションだが、画像の感じで望遠レンズで撮影している様だった。
娘も5階なので多少油断していた。
レースのカーテンしか閉めていなくて、隙間も空いていた。
これがストーカーの行動を示す始まりだった。
「今度からはちゃんとカーテンはキッチリ閉めなさい。私はこれを警察で調べるから。安心しなさい。」
「うん」
「詩織、娘、被害に会ってるって?」
「うん、まだ写真送って来ただけなんだけど…普段仕事で色々見てるから心配で。過保護かな?」
「そんな事ない。大体ニュースになる様なストーカー被害って最初のこう言う訴えを軽視して起こってるんだから!」
「そうなのよね…十分わかってるわ」
「まあ、何かあったら私も協力するから!」
「洋子は刑事課じゃない!やめてよ縁起でもない…」
「あはは、ごめんごめん」
「でも…有難う。心強いわ」
「いざとなったら心臓にぶち込んでやるわ!オリンピックに推薦されたこの射撃の腕でね!」
「やめてよ!誤射でもしたら出世出来なくなるわよ!」
「あはは!出世なんて望んでないわ!私は凶悪犯を逮捕する事しか眼中にないから!」
「もう…そんな破茶滅茶だと明久さんに嫌われるわよ?」
「大丈夫!あの人私にベタ惚れなんだから!」
「ハイハイ。」
「お母さん!」
「何、どうしたの理沙!」
「これ!怖い!」
「何これ!」
またポストに写真があって、画像は娘の学校にいる時の写真と塾の帰りの画像と最近付き合い出した彼氏といる時の写真だった。
「どうしよう…付き纏われてる…学校まで来てる…」
外は分かるが学校内まで知らない人が入れるだろうか?
もしかしたら学校内の人物かも知れない…
「分かった。お母さん捜査するから!これからは塾は暫く休みなさい。彼氏にも注意する様に伝えて。遅い時間は出歩いちゃダメよ!」
「分かった…」
「大丈夫。絶対捕まえてやるから。」
「うん。」
そう言って理沙を抱きしめた。
「お母さん!やだ!もうやだ!」
「どうしたの!理沙!」
理沙の携帯に知らない番号からアドレスが送られていた。
開くと動画があった。
そこには和風便器の女子トイレで用を足す動画が流れていた。
この動画の子が理沙かは分からないが、制服は理沙の通う学校の物だった。
メッセージに「ヤマトと別れろ」とあった。
ヤマトとは理沙に最近出来た彼氏の名前だ。
「大和くんには伝えてる!?」
「うん。この動画の事はまだだけど…ストーカーされてるから気をつけてっては言ってる」
「分かった。また念を押しといて。お母さんも今、学校を調査してるから」
「うん」
「取り敢えず明日は学校休みなさい。」
「分かった。」
「学校行くのは解決したらで良いから。先生にも伝えておくから。」
「うん。」
早く解決させないと…
この時は学校の捜査の事で頭が一杯だった。
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