第3話 女子会

「洋子は今は介護施設で給食やってるんだっけ?」


「そうよ。詩織は?」


「今は弁当屋のパートはやめて家政婦の方だけよ。」


「そう、良かったわ。あっちは深夜だったから心配してたのよ?」


「暫くは眠くて大変だったわ。まあ、お互い若く無いからね」


「そうよー!私も体力には自信あったけどね、40過ぎて急にガクッと来たわー。色々。」


「わかるわかる。前は焼肉なんて大好きだったけど、今は次の日胃もたれが抜けなくてねえ。沢山食べられないわ」


「ほんとよねえ。でも弁当屋辞めたって事はそっちは解決したのかしら?」


「まあねえ、何とか…でもちょっとミスっちゃったかも…」


「そうなの?大丈夫?」


「まあ、今の所は様子見かしら。助けが必要になったら頼むかも知れないけど…」


「遠慮しないで。私も何かあったら頼るから」


「あはは、洋子は大丈夫でしょ?何たってオリンピック代表の話が来てた位なんだから」


「やめてよ、昔の事よ。詩織も相当だったじゃない。」


「そうねえ、洋子と私でワンツーだったわねえ。懐かしいわ。青春だったわねえ。」


「そうねえ。今もやってる?」


「まあねえ。何かの時の為に一応腕が落ちない程度にね。」


「まあ、私も似た様な感じね。」




「洋子の方はどうなの?今の職場」


「まあ、体力には自信あるから立ち仕事は苦じゃ無いんだけどね。やっぱりお年寄りの食事は気が滅入るわ。未来が見えない感じね」


「そうよねえ。前の社員食堂の時は楽しそうだったじゃない?」


「そうねえ。同僚に恵まれてとても楽しかったわ。もう少し居たかったけど、解決しちゃったから会社が無くなっちゃって仕方ないわ」


「まあ、大切なのは仕事内容よりも結局人間関係よねえ。職場って」


「そうそう、結局それよね。」


「今の所は解決しそう?」


「そうねえ。多分今年中には何とかなるかもだわ」




「そう。明久さん元気にしてる?」


「さあねえ。死んだって噂は聞かないわ」


「まあ生きてるだけで丸儲けってやつよ。」


「詩織が言うと重みが違うわね。」


「体重もこの通り重みが増したわよ?」


「あはは、それはお互い様ね」




「お待たせ致しました。モンブランとアールグレイでございます。此方は砂時計が落ち切ってからお召し上がり下さい。」




「わあ!来た来た!」


「お互いダイエットは眼中に無いわね。」


「そうそう、そんな事気にする相手もいないしね!」


「まあ、健康の為には少しは気にしないとね。私、最近腹囲がヤバいわ」


「私なんてとっくに基準値超えてるわよ?」




「でも…この砂時計みたいに…砂が落ち切ったら私達ってどうなっちゃうのかしらね…」


「さあねえ。この砂時計みたいにひっくり返してまた新しく始められたら良いのにねえ。」


「そうねえ…まあろくな死に方はしないってのだけは分かるわ…お互いにね。」


「さあさあ、くよくよしないで、取り敢えず頂きましょ!砂時計は落ち切ったわよ!」



「そうね。ダイエットは明日からね!」

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