第23話 被写体
幻夜が帰って1人になった僕は
パソコンを立ち上げると
『ピーピングトム』にアクセスした。
そして。
『マイワイフ』のスレッドを開いた。
僕は『ミモザ』が
最後に投稿した画像をクリックして
拡大表示した。
画像は体育の授業後の女子更衣室の中を
盗撮したものと考えられた。
淡い水色の下着を身に着けた妻鳥小絵が
俯いた姿勢でスカートを穿いている姿が
写っていた。
僕は頭を振って画像を閉じた。
それから改めて
『夜の夏の夢』
というスレッドを開いた。
このスレッドはスレ主でもある
『ミスト』という人物が
何枚もの盗撮画像を投稿していた。
その画像のすべてが
部屋の中で無防備な姿態を晒している
1人の少女を撮ったモノだった。
そして。
その少女こそが姉の立夏だった。
最後に投稿されたのは2か月前で
『もうすぐ16の夏』
というタイトルが付けられた
2枚の画像が投稿されていた。
1枚はグレイのスポーツブラと
ショーツだけを身に着けた少女が
ベッドでうつ伏せになって
本を読んでいる姿を
斜め上から捉えた画像だった。
画像の中央に少女の小さなお尻があった。
2枚目は
オーバル型の赤いフレームの眼鏡をかけた少女が
全裸で姿見の前に立って、
肩まで伸びた柘榴色の髪を
ドライヤーで乾かしている姿を
これまた斜め上から撮った画像だった。
発育中の細身の体には
少し膨らみかけた胸と
僅かに生えたアンダーヘアーが見えた。
眼鏡の奥の一重の目、
少し大きな鼻に小さな口。
「小面」のようなのっぺりとした
その表情からは感情が読み取り難かった。
立夏はやや気難しい一面があったものの、
普段は物静かで弟想いの良き姉だった。
そして。
彼女は兄妹の中で最も頭が良く
優秀だった。
実際にこの春入学した『私立傾城学園』
には首席で合格していた。
「はぁ・・」
スレッドを閉じた僕の口からは
自然と溜息が漏れた。
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