第10話 GVG参戦決定!
ダンジョンから戻り、街の広場を通りかかった四人は巨大なクリスタルビジョンに映し出された文字を見て足を止めた。
[ギルド対抗戦(GVG)開催決定!]
「GVG……ギルド対抗戦かぁ」
ルーナが呟く。サービス開始半年という節目でのセカンダリージョブ実装に続く大型イベント。街は新たな狂想の始まりに熱気を帯びていた。
「トップギルドたちが火花を散らす、ガチのイベントだよね」
アリスが広場を見渡す。そこには進化ジョブを身につけ、さらなる高みを目指そうとする名だたるトッププレイヤーたちの姿があった。彼らのセカンダリージョブは王道の進化形ばかりだ。
「私たちみたいなエンジョイ勢が出ても場違いかも……」
フィリアが少しだけ自信なさげに呟く。
(エンジョイ勢……確かにそうかもしれないけど、私たちもう普通じゃないのよね)
メイは内心苦笑する。街中では称号の効果で同時に装備できるようになった盾も、今はアイテムボックスにしまってある。メイン武器しか持っていない姿は普通のパーティーに見えるはずだ。
「ねえ、お試しで出てみる?」
アリスが悪だくみをした時の顔で提案する。
「お試しって、アリスちゃん……相手はガチ勢だよ?」
フィリアが慌てて言う。
「いいじゃん!私たちみんな『盾』をセカンダリージョブに選んだっていう、この世界に一つだけのパーティー編成なんだよ?それがどこまで通用するか試してみたくない?」
アリスの言葉にルーナの目が輝く。
「それだ!確かに『盾ナックル』と『シールドアックス』、そして『浮遊盾』たちが、進化ジョブ相手にどこまでやれるか、超ワクワクする!」
ルーナは興奮を隠せない様子だ。
「うんうん!私もライトシールドがどこまで通用するか試してみたい!」
フィリアもルーナたちのポジティブなノリに引っ張られて笑顔になる。
(みんな前向きでいいわね。実は私も楽しみだけど)
メイは内心同意しつつ、システムの参加登録ウィンドウを開く。
「ルールを確認するわ。予選と本戦があって、予選の内容は当日公開、アイテム使用可、デスペナルティなし。本戦は4対4のチーム戦、デスペナルティなしは同じで、アイテム使用が不可。相手全員のHPを0にしたら勝利、ね」
メイがそう言うと、三人は「おー!」と声を上げた。
「「「参加決定!」」」
こうしてセオリーを無視し、自分たちの楽しみを最優先する《クローバー》は、世界の頂点を目指すガチ勢が集うGVGという大舞台に、全員盾装備という奇妙な姿で殴り込みをかけることになった。この選択がゲームの世界に新たな伝説を刻むことになるとは、まだ誰も知らなかった。
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