第三章:覚醒の鼓動

蒼剣の光が影を裂くたび、広場に黒い霧が散っていく。

だがナイトメアの群れは衰えることなく、むしろ勢いを増して押し寄せてきた。


リアンの息が荒くなる。

剣は強い。だが――一振りごとに、胸の奥で何かが高鳴っていた。


“もっと力を……引き出せるはずだ。”


そう感じた瞬間、蒼剣がかすかに震え、刃に刻まれた古代文字が光り始めた。


「……まだ何か、あるのか?」


リアンが握りを強めると、急に視界が揺れた。

周囲の音が遠のき、世界が青い光に包まれていく。

まるで剣と意識が繋がったように、誰かの声が心へ直接響いた。


――選ばれし者よ。まだ眠るな。


「だ、誰だ……?」


返事はない。だが声の正体よりも先に、現実の戦況が悪化していく。

背後の家々にナイトメアが迫り、村人の悲鳴が聞こえた。


リアンは歯を食いしばる。


「考えてる暇はない……! 来いッ!」


蒼剣を構え直し、迫りくる巨大な影へ走り出す。

次の瞬間――


刃が触れる寸前、蒼剣の光が膨れ上がり、リアンの姿を包んだ。

風が逆巻き、地面に青い紋章が描かれる。


まるで“剣が彼を導こうとしているかのように”。


「これが……蒼剣の、本当の力……?」


光の中、リアンの瞳が蒼く揺らめいた。

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