第5話 プロローグは悪夢(5)

 またできる人間ならば未成年者時代に地元や街、市の超有名人で、危ないヤンキー男として名を馳せ、本職の人たちに、家の組みにこいよ! 藤原! と誘われていたはずだ。


 しかし俺は他人が恐ろしがって近寄らないようなヤンキー少年ではないから。先ず麗しい中華美人の親子を黒い男を殺害してまでも助けるほどの勇気など持ち合わせてはいない。


 だから二人の悪夢を見せられ助けを乞われても『可哀想だな』と思うだけだ。


 だからお化け、キョンシーの二人は、俺の人間として理性を破壊するために。俺が喉から手が出そうなくらい欲しいと思っているものを与えるために。


 俺に優艶、魅惑的に甘え、生気だけではなく、精気まで二人がかりで吸い尽くし。毎夜俺に悪夢も見せるが桃源郷へも誘い。俺の火照った身体を自分たちの妖艶な肢体を差し出し、鎮静化させる。


 だから俺は二人の思惑通りに、情が入り、アラサー男の自分が一番喉から手が出るほど欲しかったもの……。


 そう俺は二人のことを彼女を通り越し、嫁だと思うようになるから。




(お願い)


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