第3話 キスマーク

「この口紅の指紋みたいなの、調べたらいいんじゃないの?」


「それは歴代の資料と合致するか別口で捜査中です」


「なるほどね、筆跡も?」


「そうです」


「それで、なんで私が呼ばれたの?」


「あなたの探偵社がキャトフル・キャトエルという名前だったから、だと」


「疑われているの?」


「ん~・・・多少?」


 顔をしかめるナイトが、しばらく表情を硬め、黙る。


「最寄りの探偵社が、君の探偵社だった。それでつごうはちょうどだろう」と局長。


「事情聴取?」


「いや、生粋の依頼だ。この若い刑事さんが担当らしい」


「それで、確認ですが、依頼内容は?」



「盗まれた『ノットタイトル』初版を取り戻し、犯人を捕まえること」とマックス。


「初版ねぇ・・・闇に流すといくらするのかしら?電話で聞いたら、すでに三日は経っているって聞いたけど??もう闇に流れている可能性はあるんじゃないの?」


「予告があってね、どうせニセモノだろうと思ったのだが、違ったのかもしれない。記憶がなぜかおぼろげなんだが、会場の展示時間に犯行は行われた・・・会場にいた容疑者の中には、三日間ここに監禁状態だ」


「なぜメディアが騒がないの?」



「これを・・・」


「ん?」



 花形ケースのナイトの死角に、張り紙がしてあった。


 張り紙には、【 探偵社キャトフル・キャトエルが怪しい 】の文字。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る