極秘報告書/対象:000番 カーレナータ

 識別番号:MAL-000

 個体認識名:カーレナータ

 保護経緯:任務【ネメシス】による勇者の育児放棄に成功させた後、対象をスラム街にて収容。

 保護時、対象は歓迎していた。


 総評:

 ・ 先代魔王を凌駕する潜在能力を有し、極めて希少な戦闘特化個体と断定。

 ・ 勇者血統を持ちながら、人間には持ちえない魔族属性である魔眼を発現させる。魔眼はまだ、使用不可な未開花状態である。

 ・ 近接、遠隔戦闘ともに高水準。魔力量は常人の域を逸している。

 ・ 魔法は確認されてる基礎属性の全てを使用可能である。

 ・ 精神操作、毒、妨害魔法への耐性を取得済み。操作系魔法に対する処理能力も異常に高い。


 

 確認事項及び問題点について:

 第一、電気刺激による鎮静処置の過多が引き起こした破滅願望の顕在化

 ・ 感情暴走の可能性あり。現状は戦闘に影響しないもの、将来的には制御不可能

に転じる可能性。

 第二、記憶混濁、現実認識への歪み

 ・ 電気鎮静をされた際の起床後、事象を都合よく解釈。

 (例:対象は手が滑ったと称して、故意に部屋にあった灯りを一つ破壊。警告を行ったものの、その後部屋にある灯りと窓の全てを素手で破壊。故に電気鎮静を実施するも、目覚めた際に該当事象を「魔力制御の誤発」と認識する)

 ・ 幼児退行や精神年齢の変動が散発的に発生。これは過去の実験による恐怖心に起因されると見られるが、作戦遂行への支障は確認されず。

 第三、戦闘パターン

 ・ 別途の資料【戦略MAL-000】を参照すること。

 第四、行動パターン

 ・ こちらも別途の資料にて詳細を綴っている。

 

 近況:

 ・ 最終試験【■■■】失敗、予備制御プラン【忘却コード】は効果を発揮せずに敗北。

 ・ 今まで記録されていたの多くが、この際に発現せず。これらは全て、正体隠蔽用の偽装工作であった可能性が極めて高い。


 最終通告:関係者各位へ伝達。

 一番、研究所の完全破壊を確認。対象は現在逃走中。

 二番、現行極秘作戦を中断し、予備プラン【検索コード】へ即時変更。

 三番、彼女への接近は最大警戒。無闇な接触は禁ずる。

 四番、万一遭遇した場合、魔眼使用の可能性を随時警戒せよ。


 付記:対象は記憶混濁を意図的に偽装していた可能性が極めて高い。勇者血統の記憶封印プロセスにおいても、対象による意図的な誘導の痕跡を検出。

 魔眼は未開花ではあるものの、十分脅威となりうる性能を持つ。


 危険度評価:S

  

 


 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る