第3話
優希さんの家にたくさんの警察が来た。警察は優希さんに取り調べをしていた。優希さんのパソコンから、私のヌード写真が大量に出てきた。警察たちは、真顔で私のヌードを見ている。私を愛してくれる人が残した記録を他人に踏み躙られてるようで、警察を初めて殺してやろうと思った。
私も警察署で話を聞かれた。優希さんは私の裸の写真を販売していた。家賃と学費を払うためにバイトをしていたが、確かに最近優希さんはずっと私と家にいた。
私って愛されてなかったのかな。あのモデルさんみたいに胸が大きくて、ウエストが細くて、お尻が綺麗だったら、こんなことになってなかった?
愛し合っちゃったから?たくさんキスをしたから?ホクロを見せちゃったから?私の何が悪いの?
私がもっとバカじゃなかったら、幸せになれたの?
優希さんは警察に捕まった。涙は出なかった。
男の人に愛されるためには、身体しかないのか?男の人たちはどうしてこんなに私を犯したくてしょうがないの?顔が可愛いから?若いから?なんで?
自分が何も答えが出せないバカだとわかったからイライラもしたけれど、3日くらい私は壊れた。手首を切ったり、首にベルトを巻いたり、色々試したけど怖いって気持ちが勝った。死にたいより、愛されたいが勝ってしまった。
気づいた頃には、施設を抜け出して町のホテル街にいた。とにかく新しい家を探さないと。私は、見知らぬ男性に声をかけた。すぐにそのおじさんはセックスの代わりに家に泊めてくれた。そんな事を転々しながらやり続けた。
18歳になった。仕事をしないといけないと思い、ママが昔に待機場に放置したデリヘルにきた。働きたい。と店長に言った。^_^ママの話をしたら、娘の里奈子ちゃんか!と嬉しそうに私を向かい入れてくれた。待機用のマンションの部屋へ案内してくれた。
なんか、凄く安心した。家がある。プライベートがある。監視する大人もいない。何より嬉しかったのは愛してくれる人がたくさんいたから、寂しくなかった。
毎日、呼ばれたらホテルに向かう。かっこいいとか、きもちいいとか、私でも使い慣れた言葉を使うだけで愛されてしまうなんて、なんて楽なんだろ。お金も貰えて、家もある。
でも何より、私を施設の前まで迎えにきて消えた、ママにいつか会えるんじゃないかと期待してる部分もあった。ママのことは好きだった。会いたいと時々思う。先にネタバレをしてしまうとママに会うことなんて、この小さい世界ですらできなかった。
待機場で過ごしていく中で、一人の友達ができた。ちーちゃん。ちーちゃんは2個上くらいと言っていた。ある日、気持ち悪い客が二人のデリヘルを呼んでいた。3人でシャワーに入った。もう一人デリヘルがいるのは面白いなと最初は思ったけど、服を脱いだちーちゃんの身体を見て、私は興味が湧いた。ちーちゃんの身体には大きな切り傷の痕があった。あんまり目立つ色合いではないけど、大きくて痛そうだった。シャワーで泡を立てて、おじさんの全身を洗って、筒を二人で触る。その時、筒を囲む二人の手首にはリストカットの跡があった。
その時、ちーちゃんともっと話したいってなった。
ちーちゃんも、私と同じくらいバカだった。
ちーちゃんは、元々東京に住んでいたらしい。ママとパパはそこそこ、じょーりゅー家庭?とかいう凄くいい感じの家だった。でも、ちーちゃんのお姉ちゃんは凄く頭が良かった。だから、ちーちゃんはママにもパパにも褒められたことがなかった。何か一つでも奪ってやろうと、ちーちゃんは高校生の時にパパの身体に触れてみた。ちーちゃんのパパは、ちーちゃんのことを愛してしまったみたい。すぐに、ママが二人のことに気づいて裸で、ちーちゃんのパパの上で寝てたちーちゃんの背中を刃物で切りつけたらしい。離婚してちーちゃんはパパに引き取られて、こっちに引っ越してきたらしい。でも、パパはママが消えたのに愛してくれなかったらしい。
ちーちゃんは今では、たくさん稼いで小さいアパートで一人で暮らしている。
ちーちゃんは時々、私を家に呼んでくれる。二人でたこ焼きを食べるパーティ?をしたり、ケーキを食べたりした。毎日、ちーちゃんのおかげで楽しく過ごせていた。
20歳になった。ちーちゃんがお家で成人式をしてくれて、たくさんお酒を飲んだ。デリヘルでたまに騙してお酒を飲ませてくる人がいたから、飲んだことはあったけど、ちーちゃんといたから、お酒が美味しいって思えた。
お仕事で辛い日も、ちーちゃんがいたから全部忘れられた。
あれ?でも、私って元々なんでデリヘルなんて頑張ってたんだっけ?
まぁ、いいか。
私はすぐに忘れてしまう。
ちーちゃんが性病になった。少しだけ、お仕事ができなくなって薬を飲んで治療していた。私は、ちーちゃんが一人で可哀想だったから、たくさん一緒にいてあげた。夜、ちーちゃんは寝ていると過呼吸になっていた。少し震えてるように眠るちーちゃんの手を私はギュッと握って、横で眠る。なんだかもう、男の人がいないのが寂しいって感情は無くなってきた。
電話が鳴った。仕事先じゃない電話番号だった。
「八代里奈子さんでしょうか?八代亜希子様のご遺体の身元確認をして頂きたく・・・」
久しぶりに聞いた母のフルネーム。
身元確認の意味が私にはわからなかった。
私はバカだから。とにかく、それをしに家を出た。
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