一度きりの鬼道で運命に抗う、壱与の物語が動き出す。

邪馬台国を舞台にした物語は多いですが、本作の魅力は、「運命に抗う少女」の必死さがまっすぐ伝わってくるところにあります。

国と仲間、そして最も大切な男性を失った主人公の壱与は、女王だけに許された“一度きり”の禁断の鬼道を使い、過去の自分へと戻ることを選びます。

彼女の行動原理は国を救うためだけではなく、――もう二度と失いたくない。その人を今度こそ守り抜きたい。という、痛いほどの愛。
その真っ直ぐさが物語の芯となり、彼女の気持ちが胸に刺さります。

未来では自分を庇って死んだナシリ。
過去で彼に再会しても、彼のすべてを知っているのは壱与だけ。
この“片想いにも似た差”が物語を強く動かし、ふたりの行く先を見届けたくなります。

過去へ戻った少女の物語は、いま動き出したばかり。
(現在第4話まで読了)

巻き戻した時間の先にどんな未来が待っているのか――続きを楽しみに追わせていただきます。

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