ランチタイムの儀式



昼休み、オフィスのフロアにある小さなカフェテリアには、既に何人かの同僚がいた。

僕はカウンターの前で、メニューを見ながら考え込む。

「今日は何にしよう…」

脳内で考えながらも、結局いつもと同じカレーを頼む自分が少しだけ悲しい。


その時、後輩の山田さんが声をかけてきた。

「○○さん、今日は一緒にランチ行きませんか?」

僕は少し迷った。

(毎回誘われるけど、気まずい話をされることも多いんだよな…)


「いいですよ、行きましょう」

山田さんは嬉しそうに笑い、二人で席を探す。


「私、いつもこれなんですけど、○○さんも同じでいいですか?」

僕はメニューを開くが、正直どれも美味しそうに見えない。

「じゃあ、それでお願いします」

結局、同じ料理を選ぶことになった。


食事中、山田さんは話し始める。

「最近、ちょっと変わったんですよ」

僕は軽くうなずく。

(変わった…って、昨日より少しおしゃべりになっただけじゃ…)


話は続き、気づけば30分が経過する。

帰り際、山田さんが言った。

「またランチ行きましょうね!」

僕は笑顔で「はい」と返すが、心の中では少しため息をついた。

午後の業務に戻る僕は、机に座りながら静かに思った。

(明日もきっと、同じ料理、同じ会話、同じ微妙な距離感のランチタイムになるんだろうな…)

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