@iize

第1章 戦場


あらすじ


今から1270年前、唐の将軍高仙芝が西域(中央アジア)に拡大を進めた。

石国の王子が、イスラム勢力に支援を求め、アッバース朝が介入し、

この2つの帝国が西アジアの覇権を争った。

           

第一章 戦場

751年タラス河畔 7月



ここに来ておよそ2ヵ月、そこは草原と川だけの景色だった、が何処か故郷の景色を思わせる懐かしさも秘めていた。

私は見慣れた光景と言わんばかりの顔をして遠くを見つめて帰りたいと呟いた。

口内に砂が入り、砂と歯が磨れる感覚にも慣れるなか、私達の軍隊は優勢だった。

周りの兵士は好戦気分だったが私は厭戦気分だった。

唐兵「お前飯食った?」

と彼は、唐突に話しかけてきたので、私はうんと頷いた。

唐兵「ずっとここにいると体全体が痛くなるな」

私も、ここに連れられて何日か立つ、が、私は馬で戦うのでほとんど足は使わなかった。

可突臣「痛くなるのは腕ぐらいだな俺は」

唐兵「それで今日お前馬乗ってないけど」

と質問してきた

可突臣「ああ体全体で動くのもありかなって思ってたまにはね」

と答えた

唐兵「そうか?それはそうとここは暑いなぁ」

と彼は疲れたような口調でそう言った.。

そんな他愛もない会話をしていると角笛が鳴った。

この音は1回 2回 3回鳴る事に意味がある. 一回目は集合し戦闘準備にかかる。


唐兵「配置に戻らなくては」

この唐兵とあいさつをしないまま私達は集合した.私はこの笛の音を聞いた時に今日はどうなるのかと考えていた。

全員が集合するので鎧のガチャガチャとぶつかる音がとてもうるさかった。

同時に私は鎧はしていたものの軽装備だったため兵士にあたると少し痛みを感じた。

私たちは持ち場に集合して次の笛を待っていた。

そして二回目の大角が鳴った。

2回目の意味は軍旗を広げ全員待機すること。

その静寂の空間はいつもと同じように重苦しかった。

私はいつものようにため息を吐いた。

三回目の角笛が鳴った。

これは武器を取り出して突撃や攻撃にそなえる一段階前の合図だ。

私は静かに兜を被り剣を抜いた.そして深呼吸し戦いに備えた。


隊長「弓矢を用意せよ!」 その号令がかかると一気に弓兵がぞろぞろ隊列を構えている。


隊長「用意!!!

次の瞬間隊長が大声で号令が放った。

隊長「放て!!!」 ,


その号令の瞬間一気に矢が放たれた。

それはまさに弓矢の雨だその弓矢が敵兵にあたりなぎ倒していった。

私は目はあまり良くないが遠目で人のようなものがたくさん倒れていった。

それと同時に砂埃が舞っている。

間もなくして前進の合図である太鼓の音が左右から打ち鳴らされ峠がその音に呼応するかのように轟いた。

その音を聞いた瞬間、私達は獣の断末魔のような雄叫びを上げた。

みんな勇ましく声を上げているがその声はまるで死を決意したようにも聞こえた。

全員一度に走り出し地面がいや大地が揺れているのを感じた。 

何歩か走ったときやっと敵兵が近づいて全員が殺し合いとなった。

私は走って喉が枯れるほど叫んだ、そして見ず知らずの異国の兵に剣を思いっきり振るった。

私は剣を前にやり全速力で敵兵の心臓めがけて貫いた。

可突臣「よし....次は!」

私は無意識に叫びながら次の敵を斬った。今思うと叫んで自分の中にある罪悪感を殺していたと思う。

私は雄叫びをあげて敵兵の腹を刺し、どろっとなにか張ったものを刺したような嫌な感覚が剣に伝った。

私は容赦なく剣を抜き蹴り飛ばし顔面を横に蹴り上げた、しかしまだ生きていることを確認した私は尻から背骨を刺した。敵はこの世のものとは思えない声を出してすぐに息絶えた。

その後敵が私に剣を振り上げ私は剣を受け力勝負となった、私は敵の股に蹴りを入れた、怯んだ隙に首を跳ねた血が四方八方に飛び散り顔にも血が飛散した。

顔に飛び散った血を腕で拭うと、拭いて掠れ乾いた血はバリバリと固まり鼻血を拭くような感覚に近い。

周りを見わたすとさっき話しかけてきた唐兵がいた、彼は敵兵に襲われていたので全速力で走った。

唐兵「誰か助けてくれ!」

大食兵「ヤムートシーン!(死ね!!中国兵)」

なぜか私はその唐兵が情けない臆病者と思った、いや死に直面すると人間はああなるのだろう。


私は大声を出して刀を敵兵の後ろから刀で喉を切った、く滝のように血が溢れて倒れた喉を切ったとき骨が少しあたりゴリッとした感触が。

刀を抜き私はこの兵士を担ぎ少し敵から離れたところにおろした。

可突臣「腹とどこを刺された?」唐兵「て,,,,,」可突臣「手だな?、ちょっと待て」そういい私は布と酒が入っている小壺とよもぎの葉を取り出し。

可突臣「痛むぞ我慢しろ!!」

ただ私の手の震えていた、殺生なんて故郷にいたときもやっていた。

心からくる異常な背徳感と罪悪感に体が何故か反応して震えていたのだろう、もうこの時点で自分自身は否定しても体は否定しきれていなかった。

そう言い酒を腹の傷口にかけるとその唐兵は鼓膜が破けるほどの絶叫し手と足をばたつかせて暴れまくった。

可突臣「死にたくないなら我慢しろ!」

布を彼に噛ませ耐えさせた。

私はよもぎの葉を雑ながらも貼って布で縛った。 

可突臣「手は消毒できない、とりあいず陣に戻らせて医官に治療させるしかない。」

すぐさま私は近くにいた唐兵を呼んだ。

可突臣「おーい!こいつを陣に戻らせてくれ」

唐兵2「承知した、これで戦場から少し逃げられるからな」

理由に違和感を感じながらも感謝し連れて行かれたのを見てすぐさま戦場に戻ろうとした。 

可突臣「俺も戦場に戻らなくては...」

私はあの唐兵の大声のせいで耳が痛くなり体もふらふらしたが私を襲いながらも私は小走りで戦場に向かった。

可突臣「耳鳴りが.....」

横から耳がこもる音と人間の声が混ざった音で振り向き。

「何だ」と振り向くと明らかに唐兵ではないものが馬に乗って突進してきた。

私は咄嗟に剣を掴み敵を馬から落とした、私は相手がこれで死んだかと思ったがなんともなかったかのように起き上がった。

明らかにその兵士は遊牧民族の装備をしていた、私はカルルク人に関する嫌な噂が立っていたのを思い出した。

私はカルルク人を地面に押さえつけ首などの刺して殺そうとた、しかしそのカルルク人もすぐ体勢を立て直した。

私は剣で首を押さえられ剣が首元に迫ってきた、私は雄叫びを上げ腹を蹴り、なんとか引き離したが今度は剣で突撃してきた。

私は誤って刀を手で掴んでしまい両手のひらが深く切れてしまった、見なくても感覚でじわっと血が出るのを感じたがその刀を横に流し敵の首めがけて小刀を刺した。

するとカルルク人は最後の報いか首に噛みついた、最初こそ力はあるものの徐々に噛む力が弱くなり大の字で倒れた。

可突臣「.....痛い」私は無意識にこう呟きながらもカルルク人が乗っていた馬を奪い敵に突っ込んだ。

可突臣「行ける!」私は馬で敵に突っ込み何人かを、具体的な数は覚えてない。

敵騎兵が5騎か迫り私は弓で頭を射て1騎を殺し、続いて騎兵が槍を突いてきたが私は咄嗟に槍を掴んで剣で殺した。

騎兵が私の乗っていた馬を殺し落馬したがなんとか受け身を取りなんとか軽症ですんだ、しかし周りが敵兵だらけとなっていた。

可突臣「深入りしすぎたか......」

敵兵が私一人のために殺しにかかる、私は我を忘れ剣を振りまくり向かってくる敵を殺しまくった、もうやるしかなかった。

私は心の中で(あぁ死ぬのか俺は....)死に直面するとなぜか冷静になる、諦めからくる冷静さなのか本能的なものなのかはわからない。

騎兵で突っ込んでくる者も馬を殺して落馬させ喉を刺して息の根を止め10人ぐらい殺した時に矢が飛んできて2つの矢が私の腹に刺さり私は血を吐きそのまま気を失った。

アッパース兵「ماذا ستفعل بشأن هذا الرجل يا كابتن؟」訳隊長どうしますかこいつ

隊長「لا تستخدمهم كعبيد، لا تقتلهم」訳 奴隷として使える殺すな

アッパース兵「أريد أن أمزق قلب هذا الرجل الآن!」訳 今すぐ殺して心臓をえぐりたいぜ!くそが!。


周りは暗黒の世界で死んだのかと思った。

可突臣「あれ俺....死んだのか」

夢をはっきりと覚えていることはないが、今まで殺した霊や怨念のようなものが私に襲いかかってきて金縛りにあった。

ゆっくり内蔵をえぐられる夢を見て力を振り絞って目をさました。

可突臣「なんだ夢か....」と安堵したが目を覚ました直後手と足に鎖が縛られていて混乱した。

臣「........つっ!」どうやら切れた手のひらの痛みで今度は眠気も覚めたようだ、嫌な目覚めだ。

???「どうやらお目覚めのようだな」

誰かが私に向かって不満の文句をぶちまけてきて思わず感情的になり。

臣「お前唐兵.......か?......これどういう状況だよ」私がそう聞くと。

唐人「俺等は捕虜さ」臣「捕虜?,,,」唐人「そう俺等は囚われの身生きているだけましさ」

その瞬間血の気が引く感覚を私は味わいました。

いろいろな疲れが一気に私を襲いぐるぐると大地が回るような感覚になった。

後々知ったが唐軍は五万以上が死んだらしい。そして唐に帰れたのはごくわずかと知った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る